(以前の記事→アベノミクス4-財政政策
)
アベノミクスシリーズの記事、しばらくサボってましたが再開します。
下げ相場に突入してしまい、こんなときに懐疑的な内容の記事を書くのもなんだかなと思いつつタイミングを逃してしまいました。
アベノミクスの三本の矢。メインの金融政策について。
ちょっと長くなるので、順を追って書いていきます。
アベノミクスの金融政策とは。
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-Yahoo!百科事典 から-
なかでも重視しているのが「大胆な金融政策」であり、徹底した金融緩和を進めれば景気浮揚の起爆剤になるという考え方をベースにしている。具体的には、日本銀行が2%のインフレ目標を掲げて通貨発行量の拡大など金融緩和を持続的に推進し、これにより円安に導き、輸出企業をはじめとする企業の経済活動を刺激して企業業績回復により税収増を図っていくというものである。
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いろいろ書いてありますが、金融緩和-中でも量的金融緩和によって景気を刺激していこうという試みのようです。
それも従来とは次元の異なる、大胆な金融緩和。
内容は黒田バズーカ で出してきた異次元の量的金融緩和と呼ばれるものです。
金融緩和と量的金融緩和
従来型の金融緩和の中心は金利操作でした。
金利を下げることにより投資意欲を掻き立てる-ケインズ さんの言うところのアニマルスピリット に火をつけるというやり方です。
長らく先進国はこのやり方で景気循環を調整してきました。
金利を下げれば、「今のうちにお金を借りて設備投資しておこう」という企業が増えるだろうという目論見であり、それはある一定の時期まで効果を上げてきました。
しかしながら、「失われた20年」と言われる日本の長期低迷では、この作戦が通用しませんでした。
少子高齢化で人口が減る中で、設備投資をしても投資資金が回収できないと見込まれるのであれば、いくら金利を下げても企業はお金を借りて投資をしません。
「ゼロ金利 」と呼ばれるところまで金利を下げても投資は活性化されず、景気は浮揚しなかったのです。
従来の金利低下作戦が通用しなくなった中で、次に出てきたのが量的金融緩和と呼ばれる手法です。
銀行は日銀の当座預金残高に応じて貸し出し枠が決まりますが、この当座預金残高を増やすことにより銀行の貸し出し枠を増やし、マネーストックを増やそうという狙いです。
しかしゼロ金利状態でも企業はお金を借りないのに、貸せる枠を増やしたからといって貸し出しが伸びるのでしょうか?
ここに大きな疑問を感じるのです。
実際に2001年ごろ行った量的金融緩和では、枠を増やしても貸し出しは伸びず、銀行は余剰資金を国債の購入に振り向け、マネーストックは伸びませんでした。
銀行が貸し渋っているのかといえば、必ずしもそうではありません。
景気が低迷する中、お金を貸してほしいのに貸してもらえないという企業もたくさんありますが、その多くは適格な担保を持たず、そもそもお金を借りても返す見通しの立たない企業です。
一方、返済能力のある企業はもう十分に借りており、これ以上借りても使い道が無いため借りることはありません。
銀行の貸し出し枠は現時点でも十分に余剰です。
貸し出し枠を広げるだけでは、貸し出しはこれ以上伸びないんじゃないかなと思います。
貸し出しを増やすためには枠を広げるだけでなく、貸せない企業を貸せる企業に変えること。
投資環境の改善が必要となります。
そこで出てきたのがインフレターゲットです。
次回はインフレターゲット論について考えてみたいと思います。