The Who『It’s Hard』
話を切り出し企画開始から2年半以上かかりやっと第2作目を紹介できる。
ザ・フーのオリジナル活動期間中のラスト・アルバム
1982年発売
最高位
US 8位
UK 11位
RIAA認定はGoldディスクと残念な位未だにセールスは伸びていない。
『ザ・フー・バイ・ナンバーズ』は約18年かけてプラチナ・ディスク迄辿り着いたがまさしくイッツ・ハードね。
まぁファンの方は承知だろうけど歴代アルバムで恐らく最も評価されていない。
というよりは聴かれていない作品である。
プロデューサーはグリン・ジョンズ
皆さん覚えているかしら?
東のグリン・ジョンズに西のトム・ダウドだよ(←だからそんな話は存在しないんでちゅ~)
ザ・フーの活動に影響力を与えたとして初期からのマネージャー、キット&ランバートが有名だがグリン・ジョンズも重要な一人だったと思う。
ジャケ買いもないだろうと思われる。
1アセーナ
昔の邦題は「アンティーナ」
ピートのギターがちょい(イメージ的に)カリブ志向。ブラスも使い方は好き。スタジオ盤はそれなりの出来映えだと思うがフェアウェル・ツアーの映像を何公演かみるとライブでは何だがメリハリかない。
2イッツ・ユア・ターン
すごく元気な曲。足踏みしたくなる。だがパワフルではない。そこなんだよね~。
3クックス・カウンティー
強引な曲展開。
それにしても唐突なサビは高揚感がありギターの切れ込み方も格好良い。
4イッツ・ハード
個人的にはこのアルバムで一番好きかな~。ブラスぽいシンセの使い方は本当に僕のツボなんです。
西部劇(←今の若い人はわかるのだろうか?)的なイントロはグリン・ジョンズの趣味か?
珍しく分かりやすい構成である。
フェアウェル・ツアーでロジャーがギターを演奏しているが何をどうしたって音が聴きとれない(もっともそれは本当に限られた一部の公演地の数曲を除いて今も続いている)
5デンジャラス
何処と無く『四重人格』を彷彿させるイントロ。どの曲とは特定しないけど。
ジョンのストレートなロックでロジャーがリードを取る。
6エミネンス・フロント
このアルバムでは存在感のある曲。
更にいうとかなり異質。
2002年以降は案外良いポジションで演奏されていてフェス以外殆どセットリスト落ちは無し。
50周年ツアーに至っては『四重人格』に挟まれてはいるが威風堂々の存在感(笑)だが明らかに立ち位置が違う印象がある。
ってか良く耐えた!
ツアーの本当の後半(バック・トゥ・ザ・フー・ツアー)には『四重人格』『トミー』メドレーの間に引っ越しできたが・・・やはり『四重人格』メドレーの前あたりの方が居心地が良いんではないかね?
それでも、兎に角、欧米では日本で考えられない位支持されている。
というのは理屈ではわかっていたが
MSGで体感した時サビの部分の合唱にはビックリした。
それと女性が結構独特の反応をしていて独特なダンスをしている人が多かった。
似たような動きだったのでこの曲に対してかリズムに対してかはわからないが何かあるのだろ。
ますます好きになる。
7戦争は知らない
ザ・フーにしては珍しくストレートな反戦ソング。
ドラムにディレイをかけている。
何か意図するものがあるのかは不明。
8ワン・ライフズ・イナフ
ピアノの調べ?といっていいのかコンパクトに纏まっている。
9ワン・アット・ア・タイム
何と表現していいのかイントロのバブルガム的なホーンの音の広がり!
この曲、他のアーティストなら代表曲になるんじゃねぇ?的に個性的な曲。
ジョンの曲なんだが、らしいっちゃらしい。
人格破壊ではないが英語やドラマでそのようなシーンのBGMに使えば簡単に脳に刷り込めそうだ。
が本編はストレートだ。
10ホワイ・ディド・アイ・フォール・フォー・ザット
若干、エルヴィスを意識したような歌いだし。ザ・フーに限らずエルヴィスをリスペクトしているアーティストは多いね。
11ア・マン・イズ・ア・マン
何となくだが「ラブ・エイント・フォー・キーピング」的な・・・。
80年代の前半てビルボードTOP40ってこんな感じの曲結構あったでね~。
ザ・フーとしては何だが楽曲としては悪くはない。
12クライ・イフ・ユー・ウォント
オープニングのドラム・マーチは「ラディツキー行進曲」を彷彿・・・させないか。
ケニー・ジョーンズの腕っぷしの強さがひしひしと伝わってくる。
2006年、50周年ツアー。共にツアー初期にはセットリストに入っていたが何故か必ず落ちる。
それでも「マイ・ジェネレーション」の後半のバンド・インプロヴィゼーションに変わり果てた姿で紛れこんでくる事もしばしば。
2008年の来日公演でもその体で披露された。
ピート、いやロジャーがなんか好きなんだろか?基本的にライブの選曲はロジャーがイニシアチブを取っているが曲のアレンジはどちらが・・・。
ボーナス・トラック
13イッツ・ハード (ライヴ)
14エミネンス・フロント (ライヴ)
15デンジャラス (ライヴ)
16クライ・イフ・ユー・ウォント (ライヴ)
全体的には80年代のロック・バンドのアルバムとしては悪くない。
しかも僕の場合はリアルタイムだったので当時は先入観無しで聴いてたんだよね。
更には初めてフルセットで観た映像作品が(今も発売されている)フェアウェルツアーのトロント公演なもんでやはりこちらも先入観ない訳・・・はなくてフーズ・ラストのインナーのシェア・スタジアム(当時のカタカナ表記)の写真があまりにも鮮烈でスタジアムでのライブを期待していたのでアリーナでガックシ。
閑話休題
なので70年代の名作と比較しても時代が変わっているんだから音も変わる。
というのも受け止めた。
まぁそりゃザ・フーの歴代の名盤は相手が悪いという事で勘弁してもらうしかない。
収録曲が映画やら何か特別露出の高いメディアで使われない限り今後もこのアルバムの評価が高くなる事はないであろう。