過去、二度ほど全身麻酔をして手術を受けたことがある。
1度目はきちんとかかったが、術後が思わしくなく退院後
一週間後に再入院、また手術を受けた。二度目は浅かった。
効きが悪く途中で覚醒したことをおぼろげに覚えている。

猫が喉をゴロゴロ鳴らす仕組みが解明されていないのと同様に
麻酔が効く仕組みも、実は今もよくわかっていない。

私もその時の体験が不思議だったので、麻酔の本を調べた事が
あるが、本当の医学書くらいしかまともなものがなかった。
簡単に解説してある新書を読んでみたのだがイマイチ・・笑

仮死状態になっているそうですが、その理由が判らないなら
そのまま目覚めない人がいてもおかしくない。

私の場合、点滴で麻酔を投与しながら数を数え8か9位で
記憶が途絶えた。そのとき、温度も何も感じないゆるく
泡立てた白い生クリームの状の中にズボっと押し込まれた
感覚があった。空気も、自分の体温も感じないところで
しばらくそのまま、じっと漂っていたようだった。

そして、ある程度の時間が経ったように思うと、押し込まれた
生クリームの天井部分から(部屋の天井よりも高い)針で穴が
開いたのがわかり、その層の上から話し声が聞こえ始めた。

で、誰の声だろうと意識を向けたとき小さな穴が突然マンホール
大の大きさに広がり、その穴へ凄いスピードで吸い込まれて
突然肉体に戻ったような体の重み、つまり重力を感じ目が覚めた。

二度目はと言うと、同じく急に生クリームの層に押しこまれるが
浅いというだけあり、居場所もマンホールのトンネルのような
空間にぎゅうぎゅうに横たわっているような感覚だった。

記憶はあり今度は天井の上で自分が「痛い痛い」と言っているのが
他人の声のように聞こえ、その周りで慌ただしく「麻酔が効いて
ないから追加!」と言う声が。しばらく後に同じくトンネル
から更に深いクリームの奥にすごい勢いで沈められた。

当時は、何故こんな感覚なんだろうと思っていたのだが、
最近、人は亡くなるときに宇宙に向けて大量の「何か」を放出して
いる事が解明されてきている。溶け込むという感じか。
意識が戻るときはその逆だそうだ。

もしかしたら私は沈められたのではなく、意識が放出されてまた
目覚めるときに肉体に戻ってきたのでは・・と思う。

身内が亡くなるときに立ち会ったことがあるが、意識不明の時は
苦しそうに何度も寝返るので背中をさすっていたが、身内が
「○○さんがくるから!」と声をかけられると、うめき声の中に
一瞬「うん」と返事をしているように聞こえた。
その後、全員到着したのを知ってか本当に眠るように
すぅっと静かに息を引き取った。その事が今も頭から離れない。

私が体験したものが死の直前と同じ状態と仮定すると、昏睡状態
の時は既に肉体には意識が「いない」。つまり痛みや苦しみは
実際に感じていないのかもしれない。そして、すでに放たれた
意識だけがどこか別の場所にあり、へその緒状の何かで
繋がっているだけで遠くから周りの声も聞くことができるのでは・・。
最後まで耳(音)だけは聞こえていると思います。
見るもの(感覚)は、その人の経験だから人により違うはず。

そう思うと、亡くなる直前までは痛みや苦しみはあったとしても
意識がなくなるときは、肉体から意識だけが放たれた開放感と
痛みもない場所に移行しており、冷静に自分の状況を見届けた後
へその緒の繋がりがなくなるとともに完全に肉体から離れてしまう・・


亡くなってしまった人の話を聞くことはできないけれど、
私の体験はそれに近いか全く違うものか・・手がかりにしたいと思う。

その放たれたものが何か解明されれば、将来その意識が肉体
から離れる前に確保して、意識だけの状態で生きながらえる・・
そんな日がくるのかもしれない。

でも、限りあるからこそ毎日を大切に生きれると思うのです。