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ノーベル医学生理学賞をiPS細胞の研究で京大・山中伸弥教授が受賞なさいました

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iPS細胞とは・・・まあ詳しい解説はWikiか、池上彰の番組でも見てください(ノーベル賞を受賞したので池上彰でなくても何処かがきっとやるでしょう)

要は細胞の錬金術のような物で、あらゆる臓器や細胞をこれから作ることができて、再生医療の発展に大きな期待ができるという事なのです

例えば腎臓機能が極端に低下する病気を患っている人は週に1~2回ずつ人工透析を受けるか、腎臓移植を受けなければなりません

人工透析は非常な苦労と苦痛を伴いますし医療費の負担も大きく、自然に治る事はほぼ無いので一生治療を続けなければなりません

腎臓移植の場合もドナー(提供者)の問題があります

多くの関門をクリアして移植を受けられたとしても、他者から貰った臓器では拒絶反応が生じやはり一生にわたって免疫抑制剤を飲み続けなければなりません

患者本人の腎臓の細胞からクローン臓器を作ることが出来れば、自家移植になるので拒絶反応は起きません

しかし既に臓器などの『形』に成長してしまっている細胞は、そこから元の臓器を復元できるほどには育たないんだそうです

それが出来るなら体の中で回復するだろ?って話です

これが肝臓だと半分くらい切り取っても時間がたてば回復していく事もあるのですが、その他の大抵の臓器・組織は一度壊死するとそこから回復する事は無いのです

例えば骨や皮膚等の単純な組織は折れたり切れたりした箇所がまたくっつきはしますが、その部分が元通りの機能を回復するとは限りません

受精卵は1個の細胞が分裂を繰り返し、あらゆる臓器や骨・器官を作っていきます

ちょっと前に話題になったES細胞とはこの卵子から必要な組織を作ろうという物でしたが、生命になるものを弄って良いのかという倫理上の問題からどの国でも研究は進められずにいました(アメリカですら2001年に当時のブッシュ大統領が人の受精卵の使用を禁止させた〔正確には補助金の支出を禁止〕)

韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)教授のグループだけは国から制限を受ける事無く研究を進めていたのですが(研究が実を結めば韓国初の学術分野でのノーベル賞は確実であり、国際的な非難も無視し形振り構わず支援した)、データの捏造事件を引き起こしたおかげでES細胞研究そのものがタブー視されるようになってしまいました(余談ですがこの事件や世界と隔絶した歴史認識のおかげで韓国のあらゆる分野の学者は信用されず、学会などの発表で韓国人学者が登壇すると出席者は喫煙やトイレ、飲み物に席を外すと言われています)

ここでiPS細胞の登場です

ちなみにiPS細胞のiが小文字なのはiPhone・iPod等に倣って広めやすいようにとの名付け親たる山中教授の遊び心だそうです(林檎屋さんが商標権で文句を付けてきそうでちょと心配になります)

iPS細胞とは卵細胞を使わず、例えば皮膚の細胞からでもES細胞同様の『何にでもなれる幹細胞』を作ることが出来る技術でした

このためES細胞研究には反対の立場を取ったローマのバチカンもiPS細胞は認めてると言われています

2006年にネズミでiPS細胞を作ることに成功し、国から5年で70億円の予算を受けて専門の研究機関を立ち上げました

その後民主党政権の誕生と共にあの蓮舫に危うく仕分けられそうになりましたが(麻生政権で最先端研究開発支援プログラム(iPS細胞研究も対象のひとつ)の名の元2700億円の予算を付けるも政権交代後の事業仕分けで1000億円に減額された)、マラソンをしてまで寄付を募り研究を続けたのです(ランニングは教授の趣味でもあります)

このiPS細胞の研究については日米独が突出して進んでおり、熾烈な開発競争を繰り広げています

何しろ万能細胞というくらい理論上は何でも作れてしまう為、その実用化のイニシアチブを獲り特許を得れば巨大な富を生み出す事は確実だからです

山中教授は日本人研究者には珍しく知財管理に熱心で、2011年の段階で既に日米欧のこの特許を取得していますが、非営利の研究に限ってはリーズナブル()な対価でその使用を認めています

これが欧米の機関なら独占するか天文学的な値段をふっかけてくる事は疑いなく、それを防ぐ為の特許取得だったそうです(ってこの人、CIAとかに○されるんじゃないか…!?)

ただ欧米の機関では山中教授と違ったアプローチで研究が進められており、特許を取っておいても言い掛り的な訴訟を受ける可能性は避けられないのではと考えられます

少しだけ具体的に言うと、山中教授のiPS細胞はガン細胞の遺伝子を組み込む事で通常の体細胞を幹細胞化しているのですが、この方法には問題もあり(作りだした組織がガン化するリスクがある)欧米では別の方法が試されてると言われています(どんな物かはわかりません。論文系の英文が読み込めるほど頭良くないです)

また自分の細胞から作る組織なのに拒絶反応が起きる場合があり、これらの問題は未だに解決されてはいない段階です

とは言うもののiPS細胞の研究は再生医療に大いなる道を開きつつあることは確かです

網膜や視神経、脊椎損傷の回復は臨床研究まで秒読み段階に入ったとも言われており、そう遠くない将来人類は移植が必要な病気を克服できてしまうかもしれません

この偉大なる研究がわずかな資金や政治の無理解に関わらずここまで至ったのは奇跡に近い事だと言って良いでしょう

しつこい位繰り返しますが、麻生政権下で決定された5年の支援は実は今年度平成25年度で終了になります

先にちょっと語ったマラソンの件も来年以降の研究費集めの為でした

恐らくは今回の受賞により公的な支援も継続されるでしょうがこんな活動もある事をちょっとは憶えて置いて頂ければなぁと思います(受賞発表から8時間ほどで50万円くらい集まってます。寄付は500円から出来るようです)


余談ですが、今回の受賞はJ・B・ガードンケンブリッジ大学教授との共同受賞になりますが、この方は今から50年前にカエルのクローンを成功させ現在の万能細胞の実現に先鞭をつけた人物です

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今回の共同受賞はその功績を認められての物ですが、その研究発表から半世紀も経ってのようやくのノーベル賞受賞となったわけです

この研究でノーベル賞を贈るなら外す事の出来ないほどの研究者だったのですが、iPS細胞のように医学への応用が現実化していない時点での単独の選出は躊躇われたのでしょうか

しかし去年のラルフ・スタインマン氏のように、受賞決定時に既に亡くなっていると変に話題なってしまう事を怖れたとか?

通常ならノーベル賞の選考は対象となる研究発表から10~20年後は当たり前なのですが、今回の山中教授は2006年のマウスでの成功からわずか6年で評価された事になり、これまでの慣例からすれば異常なほどのスピード受賞でした

しかしこの方、期待を裏切らない風貌ですね

まるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマッドサイエンティストのドクみたいですw


9日追記 上記リンク先の寄付先に受賞から丸1日で280万円強が集まったそうです





(#・ω・) 「スーパーコンピューターの京、小惑星探査機はやぶさ2、そしてこのiPS細胞といい、ありがとう民主党」
                                    ↑
                           しかし、わずか1年ほどでこの業績の数々
                            日本は頑張ってるじゃないですか