ぷーちゃんの旅③
旅から帰った翌朝、ぷーちゃんが消えてから五日目。事態はあっけなく終焉を迎える。
朝起きて部屋中を探すも見つからなかった私は、落胆した。このまま見つからずに干物になったぷーちゃんの姿が頭をよぎり、ゾッとして振り払った。
浜ちゃんが起きてきた。「いやー、とかげ捕まえるのに必死で追いかける夢みたよ~」といった。
どこにいっちゃったんだろうという話をしながら、とりあえず浜ちゃんの制服にアイロンをかけることにした。
壁面の収納棚を開けたその時。
「とかげいるやん!」
後ろから浜ちゃんの声。
ぷーちゃんは開き扉の内側で歩伏前進のポーズで固まっていた。
「ぷーちゃ~んっ!!!」
そのときの私は「どこいってたの~!?」とか「心配したんだから~」とかいろいろ言っていた気がするが、よく覚えていない。
気温は割と高くなってきていたが、ぷーちゃんは冷たかった。両手ですくい上げて手で暖めようとしたが、ぷーちゃんが暴れたのですぐにケージにもどした。
ぷーちゃんが無事で戻って心底ホッとしたが、一番ホッとしていたのは浜ちゃんだったかもしれない。
それにしてもぷーちゃんはどうやって入ったのだろう。収納棚正面にはぷーちゃんが通れる隙間はない。
唯一通る方法があるとしたら、棚の裏にあたる部屋まで歩いていき、物置やクローゼットの中をくぐって侵入するくらいだ。
ケージに入ったぷーちゃんは、すぐさまシェルターの中に消えていった。
コオロギを入れると苦手な狩りに悪戦苦闘しながらも10匹以上捕食して、満足そうに眠りについた。
そして、ケージの窓にはセロテープ。
こうしてぷーちゃんの6日間の長い旅は終わった。
朝起きて部屋中を探すも見つからなかった私は、落胆した。このまま見つからずに干物になったぷーちゃんの姿が頭をよぎり、ゾッとして振り払った。
浜ちゃんが起きてきた。「いやー、とかげ捕まえるのに必死で追いかける夢みたよ~」といった。
どこにいっちゃったんだろうという話をしながら、とりあえず浜ちゃんの制服にアイロンをかけることにした。
壁面の収納棚を開けたその時。
「とかげいるやん!」
後ろから浜ちゃんの声。
ぷーちゃんは開き扉の内側で歩伏前進のポーズで固まっていた。
「ぷーちゃ~んっ!!!」
そのときの私は「どこいってたの~!?」とか「心配したんだから~」とかいろいろ言っていた気がするが、よく覚えていない。
気温は割と高くなってきていたが、ぷーちゃんは冷たかった。両手ですくい上げて手で暖めようとしたが、ぷーちゃんが暴れたのですぐにケージにもどした。
ぷーちゃんが無事で戻って心底ホッとしたが、一番ホッとしていたのは浜ちゃんだったかもしれない。
それにしてもぷーちゃんはどうやって入ったのだろう。収納棚正面にはぷーちゃんが通れる隙間はない。
唯一通る方法があるとしたら、棚の裏にあたる部屋まで歩いていき、物置やクローゼットの中をくぐって侵入するくらいだ。
ケージに入ったぷーちゃんは、すぐさまシェルターの中に消えていった。
コオロギを入れると苦手な狩りに悪戦苦闘しながらも10匹以上捕食して、満足そうに眠りについた。
そして、ケージの窓にはセロテープ。
こうしてぷーちゃんの6日間の長い旅は終わった。
ぷーちゃんの旅②
フグの国から帰るとすぐ部屋の中をくまなく探してみた。
フンでも落ちていたらまだ生きている証拠になるし、手がかりになるかもしれない。
前に一度逃げ出した時には冷蔵庫の裏に潜んでいた。ささやかな希望を持ちながら覗き込んだが、淡い期待は露と消えた。
今日で失踪から4日目。
留守番のネーブルは乾いたウェットシェルターの中から見開いた目でこっちを見た。
この日も1日探したが、結局ぷーちゃんが現れることはなかった。
フンでも落ちていたらまだ生きている証拠になるし、手がかりになるかもしれない。
前に一度逃げ出した時には冷蔵庫の裏に潜んでいた。ささやかな希望を持ちながら覗き込んだが、淡い期待は露と消えた。
今日で失踪から4日目。
留守番のネーブルは乾いたウェットシェルターの中から見開いた目でこっちを見た。
この日も1日探したが、結局ぷーちゃんが現れることはなかった。
ぷーちゃんの旅①
それは法事で浜ちゃんの実家、長州に旅立つ朝のできごと。
ぷーちゃんが消えた。
レプロ450のケージはガラス戸が1.5cmほど開いていた。
ふと思い出すと、そこはいつもぷーちゃんが戸を開けようと必死にもがいていた位置。
ぷーちゃんは、ついにやったのだ。
「まさかあの小さな手で本当にガラス戸を開けるとは…。」
さて困った。
なぜよりによって今日なのだろう。長州に滞在するのは3日間。出発までにみつけなければ最低でも4日間は野放しになる。
ぷーちゃんを踏まないように足元を見ながらの出発準備。
家を出る時間になってもぷーちゃんを見つけることはできなかった。
ぷーちゃんが消えた。
レプロ450のケージはガラス戸が1.5cmほど開いていた。
ふと思い出すと、そこはいつもぷーちゃんが戸を開けようと必死にもがいていた位置。
ぷーちゃんは、ついにやったのだ。
「まさかあの小さな手で本当にガラス戸を開けるとは…。」
さて困った。
なぜよりによって今日なのだろう。長州に滞在するのは3日間。出発までにみつけなければ最低でも4日間は野放しになる。
ぷーちゃんを踏まないように足元を見ながらの出発準備。
家を出る時間になってもぷーちゃんを見つけることはできなかった。