1998年に出された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の電磁波に関するガイドラインを読みました。
正確には、「時間変化する電界、磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン」です。
ちなみに、私の大学での専門は「放射線防護」です。国際放射線防護委員会(ICRP)の出した書物などは沢山読みましたが、非電離(Non-Ionizing)放射線は扱っていませんでした。
ガイドラインは専門用語が使われており、研究結果を主観を入れずに書かれているので、非常に読みづらいものになっていると感じました。
ガイドラインの始めの方に「このガイドラインは定期的に改訂され、また時間的に変化する電界、磁界および電磁界の健康への有害な影響の確認が進展するにつれて更新される予定である」と書かれていますが、ガイドラインが出されてから既に10年近く経っていて現在改訂中だそうです。
このガイドラインにがんリスクの増加の可能性についてこう書かれています。
疫学研究では、このガイドラインで勧告した50/60Hzの磁束密度レベルをかなり下回るレベルの曝露と発がん作用の可能性との関連を示唆はするものの、説得力に乏しい証拠が提出されているが、得られているデータは曝露制限設定の根拠とするには不十分である。
解りにくいでしょ 英文を訳したものだからなおさら理解しづらい
要するにこういうことです。
ガイドラインで設定した基準よりも低いレベルの電磁波によって発がんするリスク(確率)が増えるかもしれないことは研究結果として得られているが、必ずしもそうとは断言できないのでこのガイドラインの基準設定には発がんリスクは考慮していない
このガイドラインに載せている基準は、末梢神経・筋肉の刺激や感電・熱傷に基づいたものなのだそうです。
なので、基準よりも低いレベルの電磁波で心臓のペースメーカーなどの機器が誤動作する可能性があるとしています。
また、ガイドライン書かれていたのですが、送電線に近いために発生する電磁波と小児がんになる確率に関して、8つの研究で電磁波によって小児がん(白血病)のリスクが増えるという結果が得られています。
つまり、限りなくクロに近い灰色ということでしょう。解釈の仕方でシロにもクロにもなります。
ガイドラインが参考にしている文献は209もあり、それらを調べるのは難しいかもしれません。詳しく調べてまとめているものがないかを探してみることにします。