2ヶ月くらい前だろうか。ちょっとまずいサイトを見つけた。新興企業だが結構名の売れた会社が運営していた。
オークションサイトなのだが、従来と違う点があった。
 ・オークション終了までの時間が短いこと。
 ・オークション開始価格が安すぎること。
 ・新たな入札が入ると十数秒程度オークション終了時間が延長されること。
 ・入札金額は入札者が指定できない。1回の入札で開催者側が決めた額ずつ金額が上がる。例えば、入札が1回あれば1円づつ上がる。
 ・入札一回ごとに入札費用がかかること。


例えば10万円のパソコンが1円から開始され、1回の入札で1円づつ上がっていくとしよう。これが1万円で落札された場合。1回の入札費用が70円(私の見たサイトはそのくらいだった)だとすると

 ・入札の費用の合計 1万×70 = 70万円
 ・製品の売り上げ           1万円

1万円で落札させても、71万円の売り上げになる、という計算である。この仕組み、ギャンブルとしか思えなかった。

案の定、消費者生活センターに報告が上がっているらしい。


はてさて。こういう仕組みを考えるのはいいのだが、大事な観点が抜け落ちている。
そう、「いったい誰にとって利益があるのか?」ということだ。このケースで利益があるのは、少ない入札額で商品を入手した人、および運営会社である。ゆまり、仮に入札者が10人居たら、9人は損害しか無い訳である。
いちおう、入札額が無駄にならないようにという救済措置はある。入札した商品を、数日以内なら入札額の7割程度を商品代金に充当して購入できるというもの。しかし、そこまでして安いものを入手したい人の目的は「商品が欲しい」というよりは「転売して小遣い稼ぎ」だろう。救済制度を利用する人はほとんどいないのではないだろうか。

ビジネスモデルを検証する際は、ちゃんと相手方に利益がでることを確認しておかなければなるまい。そういう事すら確認できないというのは、その新興企業も早くも大企業病に掛かっている、ということだろう。