社長インタビューなどでは「帰りに有り難うを言う機会を逸するから」なとどある。

それを感心して受け入れているような人もいるが、不思議でならない。

だいたい、丼モノを扱うファーストフード店で、店員に「ごちそさま」を言う奴がどれだけ居るだろう?自分を除けば、ほとんど見たことはない。「やすく、はやく」の手軽さを求める人たちに有り難うの言葉がどれだけ届くか分からないし、そこまで心をこめた挨拶も聞かない。

お玉の穴の数にさえこだわる会社が、そういう理由だけで「券売機を導入しない」ということはあるまい。ちゃんと「導入しない方が効率がよい」理由があると考える方が自然ではないだろうか。

で、店舗に行けば、券売機利用チェーンと吉野家の違いは「あ、こういう理由か」というのが分かるのではないだろうか。

流れを見てみよう。
・空いた席に座る
・注文して待つ
・注文の品が届く
・食べ終わったらお会計を済ませ、席を立つ

で、これに対して券売機導入店は
・券を購入する
・空いた席に座る
・券を渡して待つ
・注文の品が届く
・食べ終わったら席を立つ

これを、お店の人が関わるポイントに◆印を入れると、吉野家は
・空いた席に座る
◆注文して待つ
・注文の品が届く
◆食べ終わったらお会計を済ませ、席を立つ

券売機導入店は
・券を購入する
◆空いた席に座る
・券を渡して待つ
・注文の品が届く
・食べ終わったら席を立つ

である。

ここまで書けばお気づきだろう。吉野家の方が店員が関わることが多いのだ。
吉野家では「席が埋まった」「席が空いた」の二点をマネジメントできるのだ。それも、店員が頑張らなくても、客の方から声を掛けてくれる。空いた席はサッサと片付けて次の客を呼べるのだ。
券売機導入店では「席が埋まった」タイミングしか分からず、前の客の器が残っていたりして新規注文客かどうかをパッと見ただけでは判断できない。空いている時間帯でさえもなかなか器が下げられていないで放置されたままの光景もみられる。さらに、よく言われる「混雑時には券売機で行列ができる」という問題もある。


要するに「客にアラームをあげてもらうことで業務効率を上げよう」とする工夫ではないのか。そもそもは、なるだけ客を待たせないようにと考えた結果だろう。
店員に「回転率云々」いうより、会計が済んだら次の客のために器をさっさと片付けるよう指導した方が分かりやすいし、「有り難うの大切さ」を説いているなら挨拶はおろそかにしないだろう(これは実態を見ていると希望的観測だろうけれど)。また、「視点が客を向いている」と言う点では社長の言葉はぶれていないのではないか。いろいろ考え抜いた上での言葉であることがうかがえる。



ここまで持ち上げておいて申し訳ないのだが、最近の吉野家、味が落ちているのではないか??時間のないときは、つい松屋のトマトカレーを食べてしまう。290円だし。