顧客のニーズやウォンツを確認せず、自社パッケージソフトや自社ハードウェアを売り込んでしまうケースはよくあるようで、導入後、使いもしない機能が満載であったり、重要な機能が漏れていたり、という話はよく聞く。
以前、あるソフトを使おうと思い、その製品を出している製造元に用途などを仔細に説明すると「弊社製品はそういう用途には向かないと思う」という説明を受けたことがある。他の事情もあるのかもしれないが、いたずらに自社製品を売り込もう、という姿勢ではなく、好感が持てた。
このように、自社の製品が用途に向かないと思ったら、向かない、と正直に告げた方がよいだろう。短期的には機会損失になるかもしれない。しかし、中長期的には信頼につながるだろう。同じような話が出てきたときにはその会社に相談すれば、向くか向かないかの判断をしてくれるだろうという期待は持てるからだ。
確かに発注側である顧客が何をしたいのか、曖昧なことはよくある。それを逆手に取って売りつけるのではなく、自社製品なのだから競合他社と比べてどこが強みでどこが弱みかは分かっているだろうから、曖昧さを明確にしていった上で向くか向かないかを判定する必要があるだろう。製品は売れないかもしれないが、、曖昧さを明確にするプロセスをビジネスにすれば会社としても損はないのではないだろうか?
私自身、その手法で2ヶ月くらいしか携わっていない顧客から厚い信頼を得ることができた経験がある。
目先の利益に走ると、IT業界はそんな商売の仕方をする、と揶揄され、悪評が高まるばかりである。そういう現状は打開したいと思う。