テストが難しい
ことは書いたが、これと関連するだろう。
Excelはそれ自体でいろいろと機能があるので、シートに貼ったデータをどう触るのかはお客さんにとって千差万別である。よって要件漏れやテスト漏れは発生しやすい。
そこで、プロトタイピングの手法と使って確認するのがよいだろう。注意したいのは「ただ見て確認」ではなく「実際に操作してもらう」こと。また、「ソートを行うか」「フィルタを使うか」「色を塗るか」なども確認項目として質問するべきだろう。しかしこれは最低限のレベルになる。
実態としては、お客さん、それも実務担当者のなかのリーダー的な人にお願いし、実際にExcelを使って業務をしている姿を観察させて貰うこと。もし可能ならお客さんに該当する業務を手伝わせて頂くこと。これをしていれば「こういう操作があるから気をつけないと」と、設計にもテストにも盛り込める。その際、謙虚さが重要である。
よくある失敗は、システムの担当者と話をして「ではこういう感じで」と決めてしまうこと。システム担当者が現場担当者にヒアリングを事細かにしてくれる場合もあるが、口頭で聞くと必ずといっていいほど漏れが出る。これにより現場でひっくり返らなかったことはない。些細なことなら誤差の範囲としても、システムの根本を揺るがす場合はたまったものではない。
また、現場担当者なら「ここまでやってくれていたんだからこれは伝達漏れ」と納得してくれることがあるが、システム担当者は右から左で「この機能がない」と平然と言ってくることがある。ひどい場合には「そちらのヒアリング不足」などという理由で開発側に全ての責任を持ってくる。
相手、特にエンドユーザーを味方につけるのも仕事を円滑に進める上での重要なことである。その方が費用的にも時間的にも遠回りなようで、実は近道であるというのが私の経験則である。