あの日の夜を、今でも覚えている。


布団に入っても眠れなかった。


スマホを握ったまま、

ただ天井を見つめていた。


頭の中では、

同じ言葉が何度も繰り返される。


「どうする?」


答えは出ない。


386万円。


この数字が現実なのに、

どこか他人事のようだった。


いや、違う。


現実すぎて、思考が止まっていた。




一番怖かったのは、


取り立てでもなく、

銀行でもなく、

周りの目でもない。


自分自身だった。


「お前、何やってたんだ?」


努力していたはずだ。


朝から晩まで働き、

休みなく動き、

家族のためと言いながら、


本当は、

自分の見栄を守っていただけかもしれない。


忙しさに逃げていた。


数字から目を逸らしていた。




深夜2時。


ふと思った。


もしこのまま、

同じ考え方で生き続けたらどうなる?


答えは簡単だった。


また繰り返す。


金額が変わるだけで、

本質は何も変わらない。


その瞬間、初めて気づいた。


問題は借金じゃない。


「思考」だ。


ここを変えない限り、

何度でも崩れる。


あの夜が、

本当のスタートだった。


続く。