借金の額よりも、
本当はこれが一番きつかった。
「言えない」
家族に、現状を全部は話せなかった。
心配させたくなかった。
不安にさせたくなかった。
情けないと思われたくなかった。
でもそれは、半分本当で、半分嘘だった。
本音はこうだ。
「自分の失敗を認めたくなかった」
経営が厳しいことも、
資金繰りが苦しいことも、
本当はもっと早く言えた。
でも僕は、
「もう少しで立て直せる」
「次で巻き返せる」
そう思い込んでいた。
いや、思い込みたかった。
強い父でいたかった。
頼れる存在でいたかった。
でも現実は違った。
通帳の残高は減り、
請求書は増え、
未来の予定は白紙だった。
ある日、ふとした会話の中で、
「最近、疲れてない?」
と言われた。
その一言で、胸が締め付けられた。
バレている。
強がりは、家族には通用しない。
その夜、考えた。
守るとは何だろう。
黙ることか?
強がることか?
違う。
本当の意味で守るなら、
まず自分が現実と向き合うことだ。
逃げないことだ。
あの日から、
少しずつ話すようになった。
全部じゃない。
でも、少しずつ。
再設計は、お金の前に
「関係性」から始まった。
続く。