腸が煮えくり返ってはいないが、沸騰しつつある。
帰り道、気狂いなクラスメートが、あたしと友達二人のラブラブ三人下校を脅かしてきた。
間違いなく三人で帰っていたはずなのに、なんだか知らんうちに変なのが紛れ込んでいた。
あたしのクラスは皆仲がいいから、基本的に楽しくおしゃべりの輪を広げられる。
だから、途中参加も問題ないケースが多い。
けれど、奴は別だ。
あいつは並の人じゃ想像もつかないほど、空気が読めないお笑いオタクの気狂いだ。
わけのわからない滑舌の悪いツッコミをかまし、行動もうるさい。
そんな奴と帰り道一緒になるなんて、あたしは発狂する思いだった。
全身で奴を拒んでいた。
これは、言わずと知れた誰もがなる自然現象である。
人一倍繊細で、心優しいクラスの子達までもが拒むほどだ。
学年でも浮いた存在になっており、普通科の子らのいい笑いもの。
何より一番困るのは、奴の自覚がまるでないことだ。
自分の存在を遠ざけようとされていることに、全く気付いていない。
構わず奇妙な動きで寄ってくるものだから、気色悪くてしょうがない。
あたしは一切関わらず、話しかけられても放置している。
直接言えば、泣き出すからだ。
誰かが先生にキツく注意されている空気の中にいるだけで、泣き出す奴だ。
もし奴が言われる側になったら、どんなに喚くかわからない。
非常に面倒くさい。
さらなる問題は、奴とあたしの降りる駅が一緒ということだ。
あたしは無言を貫き通した。
というか、話すことなど何もない。
降りる駅に着くと、見向きもせず、あたしは颯爽と改札を通った。
「バイバイ」も無視した。
奴が特にあたしに何かしたわけではない。
あたしが単に、そいつの存在をもちに挟んで燃やして灰にして、その灰をトイレに流して、そのトイレをダイナマイトで破壊して、ゴミの埋立地に葬りたいほど嫌いなだけである。
あたしが悪いと言われたら、それは認める。
しかしこの気持ちはまげない。
悲劇はまだ終わらず、最近あたしは小学校が同じだったゲス男に待ち伏せされている。
ようやく奴と遠のいたと思ったら、階段を登りきった先に、ゲスがいた。
あいつは、小学校の頃あたしがゲスのことが好きだったと勘違いしているらしい。
席が隣になったことがあったぐらいで、なんなんだ、本当ゲス。
古くからの友人が言うには、両思いだと一人で思っているらしい。
中学は違ったからよかったものの、まさか高校を合わせてくるとは。
被害妄想かもしれないが、偶然が重なれば、その偶然は事実に変わる。
科が違うから会うことは滅多に無いが、あたしはそのゲスも大嫌いというか、もはや無関心。
そいつが待ち伏せていた道には行くそぶりも見せず、あたしは車に乗り込んだ。
今日はラッキーな事に、迎えが来てくれていたのである。
あたしがいつも通る道だと思って、あそこに信号待ちしているように見せかけて態とらしく居たのだろうが、もし歩きで帰るとしても、てめーと同じ方になんかいかねぇよ。
あたしはこんなに腹が黒い人間だ。
嫌な奴はとことん嫌である。
しかし、書き切って少しスッキリ。
ひと眠りするか。
