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あらすじ
友人の父が経営する刺青屋で働く中国人になんとなく犬のタトゥーを彫ってもらった少女。その犬に「ポッキー」という名をつけてひとり喜んでいたのだが、どうやらその刺青は動き、吠えるようだ。奇妙な共同生活を続けることになった少女の家族にとある不幸が降り注ぐ―「平面いぬ。」―
少し怖くて大きく切ない4編が収録された短編ファンタジーホラー。大切なものを失うことの恐怖をしっとりと感じることが出来ることでしょう…

前から気になっていた本でしたが、やっと読むこととなりました。
乙一さんといえば、僕の中では「暗いところで待ち合わせ」の映画しかしらないのですが、この作品はかなり好きでした。しかし、ヘンクツで天邪鬼な僕ですから、「乙一」というブランド名と、ミステリーというカテゴリーによってなかなか小説を読むことはなかったのです。

でもこの「平面いぬ。」はどうやらホラーらしい。そしてなにより乙一さんの作品をすごく読みたい。そんな訳でこれを手にしたわけですが…

大当たりでした!!!

物語は4つ。
目を見ると石に変えられてしまうという魔物が出るといわれる村。その山でハイキング中に怪我をしてしまったふたりの男性の前に謎の老婆が現れる。その老婆は一切目を合わせることがなかった―という「石ノ目」。

小学校の飼育当番をしていた耕平は誤ってひよこを殺してしまう。その犯人探しが始まるが、同じ当番だった木園は耕平が犯人だと知っていたのだが、木園は犯人はじめという女の子だと言い、耕平をかばう。決して見つかることの無い犯人、しかしいつしかはじめは二人の前に現れ―という「はじめ」。

不思議な布で作られた5つの人形―王子と姫と騎士に白馬、そして余りもので作られた不恰好な青い人形―は命を持っていた。人には聞こえない声で話し、自由に動くが、決して人に見られてはいけない。見つかったら捨てられてしまうかもしれないから。5つ同時に買われた先で、不気味な青い人形だけは乱暴な弟の手に渡され、日に日に汚れていってしまう。なぜ私は…でもきっといつか…そんなある日、弟の身に危険が迫り―という「BLUE」。

そして、表題作の平面いぬ。

どれもホラータッチではあるものの、ファンタジー要素が強く、背筋がひやりとするようなものではありません。
その点に関しては僕のイメージ(背筋がぞっとするようなホラー)と違ったのですが、1作目の石ノ目を読んでじんわり。
これ、泣けます。
恐怖と切なさっていうのは実は共にあるものなんだなっていうのを改めて感じることとなりました。
4作品とも設定は確かにホラーですが、最後にはそれぞれの魔物・怪異が愛おしく思えるほど読み手を引き込みませ、泣かせていただきました。

中でも僕は「はじめ」と「BLUE」が好きです。
はじめの見えない自分、(噂による)悪評に対する健気さにかわいいとすら思えるくらいいい子なのだけれど、やっぱり実体が無いということによりいくつもの問題が生じて、人とそうでないものの絶対に交わらない部分に涙ぐみ、
BLUEの弟や仲間たちを思う気持ちにほっこりしながらも、彼女の見た目による不遇さはいくつもの負の連鎖を生んでいく。それでも立ち向かい、やっとひとつの幸せを手にしたのに…という場面でもう号泣ですよ。
4編とも分かりやすい物語で、設定もそれほど珍しいものではない。それでも物語の独特さがあって、物語、設定ともに楽しませてくれました。
アニメ脳で申し訳ないのだけれど、石ノ目、はじめ、BLUEはアニメとして十分見せ場のある作品になるだろうなぁ。BLUEに関してはもうすでにたくさんの人形たちが動きすぎてしまっているので新鮮味は無いかもしれませんが…それぞれ短編アニメとして見てみたい気もします。


「千年樹」や「押入れのちよ」のようなブラックホラーではなく、ファンタジー色が強い分、読み手を選ばないかもしれません。
とりあえず僕の中でまたひとつ人に薦めたい作品が増えましたよっと。


ふぅ…

いまだに録画したドラマ、冬のサクラが見れていない…
数えたら8時間分あるそうな…
なんかもう…
面白いって噂は聞くのだけれど…