- 毛布おばけと金曜日の階段 (電撃文庫)/橋本 紡
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あらすじ
お姉ちゃんは毎週金曜日、階段の踊り場で“毛布おばけ”になる――。あたしとお姉ちゃんとお姉ちゃんの恋人和人、3人で過ごす金曜日は“家族”という言葉を実感できる瞬間だった。父と母を失った今、金甌日の階段は至福の場所なのである――。
キノの旅以外のライトノベルははじめてですが、楽しく読ませていただきました。
といっても作者は橋本紡さんで、電撃文庫以外でも小説を出している方なのでいわゆるライトノベルのようなコテコテしたもの(勝手な憶測ですが)ではありませんでしたが。
主人公の姉が父親の死をきっかけに金曜日だけ精神が崩壊してしまうというテーマとしてはなかなかダーティーなものがありますが、決して重過ぎない文章と内容で綴られています。
物語は3つの短編からなっており、それぞれ未明(妹)、和人(恋人)、未明が語り手となって話を進めていきます。
1章では未明が恋をする同級生の女の子との物語が描かれます。一方的な思いを伝えることは無いまま彼女の引越しが近づく。和人の助言によって思いを伝えるも失敗した未明を元気付けるため和人が連れて行ったのは和人の父親の愛人がいる料亭だった。
2章では和人が年の離れたさくらとの関係に不安を抱き、誕生日に高価なプレゼントをするために必死にバイトに明け暮れる姿が描かれます。少しでもさくらとの年齢の差を、高校生である自分を格上げして埋めようとするが、親友である都築や周りの人はそれが正しいのかと論ずるのであった。
3章では未明が都築と付き合うことから物語が始まります。しかしなかなか好きだった子を忘れられない未明はどうしても都築との関係を進められないでいた。
この3つの話を軸に週一回の団欒を楽しむのですが、どれも高校生の可愛らしい悩みが描かれていて読んでいてなかなか微笑ましいのです。特に2章については男ならば思い当たる節があるのではないでしょうか?(笑)
しかし最後まで姉の心理が描かれること無く、彼女が何を思っているのかはっきりしないのですが、むしろ姉には思いなんてなかったのかもしれません。僕としてはいささか信じられませんが、もしかしたらこういった精神病は存在するのかもしれないかと思うとドキリとさせられます(一種の二重人格かな?とは思いますが)。
そういう点では少し苦しみの強い作品なのですが、なんとか最後に救いを持たせてくれるあたりが橋本作品といったところでしょうか。
温かみの詰まった青春ハートフルストーリ。ほどよい青春の日々を彼女たち3人と共に金曜日の階段で過ごしてみてはいかがでしょうか。
ふぅ…
あ、、、
頼まれていた年賀はがき出してくるの忘れてしまった…
また忘れないように今からポストへ向かうか
ぬくぬくと過ごすか…
ふたつにひとつ。
いや…間違いなく一択である。
どちらを選んだかは、今の気温だけが教えてくれる。。。