- 秋の牢獄 (角川ホラー文庫)/恒川 光太郎
- ¥540
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あらすじ
表題作『秋の牢獄』
11月7日水曜日。女子大生の藍は秋のその1日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び11月7日が始まる。終わらない日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」たちに出会う…。いつまでも続く同じ日々を抜け出せないこの世界から抜け出せる日は来るのか。
『神家没落』
家に帰るときに抜け道を使ったその先には一軒の家が建っていた。そこに導かれるように入っていくとひとりの仮面をかぶった老人が出て来てその家の説明を始めた。この家は神域で代々受け継がれてきた家であり、必ずひとり住み続けなくてはならないと。そういって老人は姿を消し、「僕」は神域に取り残された。
『幻は夜に成長する』
祖母に育てられてきたリオはある日祖母に不思議な力を見せられる。それは人に幻覚を見せる術だった。その異様な雰囲気から町の子供たちに悪口を言われ、ついには家を燃やされてしまった。不思議な力を習得したリオは小学校の友人と偶然であったことから報復を考えるのだが、彼らはすでに殺されていた。
お久しぶりで楽しみにしていた恒川さんの作品です。
今回は秋の牢獄を含めた3つの短編集です。
秋の牢獄では同じ日を繰り返すというありがちなSF作品ですが、それが不思議とホラーっぽく読めるから面白い。この題材は『ターン』や堂本剛さんが主演のドラマでも同じような作品がありましたが、これらの終着点をどうするのか、他の人との関係性をどうするのか難しいと思います。秋の牢獄ではそれを『北風伯爵』という謎の存在の仕業にしているというある種の強引さがあるのである程度までは受け入れられます。
が、11月8日はどんな世界が待っているのか、他のリプレイヤーの存在はどうなるのかそれが他の作品よりもずっと気になってしかたがない・・・。
と言う点ではその後の2作はぴったり両足で着地した感じがして好感が持てるかもしれません。
僕は幻は~が一番面白く読めたかな。
一番ホラーっぽさを感じられたし、どこかもの悲しい雰囲気が出ていたので。
この作品の表題作は『秋の牢獄』ですが、一貫して『牢屋』が描かれています。
秋の牢獄では11月7日という日にち。神家没落では神域。幻は夜に成長するでは能力者ゆえに幽閉される。
形は違えど抜けられない牢獄に繋がれるのですが、その重く冷たい雰囲気がすごくよく描かれています。
ただ、ちょっとどれもインパクトに欠けた気もしないではない。
どれもよく纏まっていて面白いのですが、同じ短編と言うことでデビュー作の夜市のような驚きを期待してしまったのかな?
僕が恒川さんの作品を読むときはどちらかというと和製ファンタジーのような感覚で読んでいるのですが、今回は特に真っ直ぐな題材、お話なだっただけにホラーとして読むのにはちょっとおどろおどろしさが弱い気がしました。
恒川さんの作品はまだまだ発表されていますが、文庫化するまで待ってみます。。。
って早くても1年後とかになってしまうのかしらん。
ふぅ…
あぁ~、今日はなぜかよく疲れた。
あれ?よく疲れたって日本語可笑しいかな?
もう、頭も働かぬ。