借りぐらしのアリエッティ を観てきました。
感想としては
ここ最近のジブリ映画(千と千尋以降)の中ではダントツに面白い映画でした。
物語としては比較的明快でわかりやすい。
小人が人間の生活品を借りながらひっそりと暮らしていたが、人間に見つかってしまう というところから物語が始まります。
小人は人間に見つかってはいけない。しかしアリエッティは見つかった男の子(翔)と接するようになるのだが、そのことに感づいた使用人のハルは小人を見つけようと動き出し…
ということで小人が悪魔と対峙するわけでも、うちでの小槌で大きくなるわけでもない。今回の敵は人間そのものなのですが、直接剣を振るって戦うようなものでもありません。
小人は人間にはかなわない。ただ『借り』をしながらひっそりと暮らしているだけ。
その辺のリアルな設定が優しい物語を作っている気がします。
でも僕はやっぱりジブリでもアツい場面が見たいと思っています。
魔女宅ではデッキブラシで飛ぶ場面。
紅の豚ではカーチスとの一騎打ち。
もののけ姫ではサンとエボシを止める場面。
意外とジブリにはアツいシーンが多いのですが、アリエッティでもそういったシーンはありました。
シーンとしては短いのですが、アリエッティが小人ならではの行動で動きまわります。アツさ具合はちょっと弱く感じる部分もあるのですが、もし彼女がまち針で暴れまわったらそれはそれで違う映画かなと思うので、あの程度がちょうどよかったのかな。
そしてジブリといえば音楽です。
ここ数作は音楽が力を持ちすぎて映像や内容が負けていることが多かった気がしますが、アリエッティはあの音楽があってこそです。あの英語歌詞の主題歌がぴったりあうんですよ。聴いていて気持ちいいくらいに!
もちろん他のBGMもよくて、入りの曲の美しさは過去に見ないほどでした。
物語の終わりは原作どうりなのかわかりませんが、
続きものらしい(原作の話です)おわりかたです。
でも『映画 借りぐらしのアリエッティ』としてはあれでいいのかなという気がしました。
小人たちは今も生きている。私たちが知らないところで、知らない間にひっそりと。
そんな意味を含んだ終わり方でした。
うん、あれはあれでよかったんだ。
ただいくつか残念だったこともあったのは確か。
上映時間は94分。
もっと長いお話でもよかったんじゃないかなと。
もちろん原作ありきの作品ですので無理やり長くするというのはできないのでしょうが、ちょっと説明足らずな部分があったかなと。
例えば
・アリエッティたち小人がなぜ人間を恐れるのか。 これに関してはちょこっとだけ話が出ましたが、もっと突っ込めた話かなと。
・ハルさんが小人に対して異常なまでに執着する理由は…
これは 多分ハルさんが周りの人に言っても信じてくれなかったという過去があったのかなと予想はつくものの、目的がはっきりしていないからただ『怖いおばさん』にしか見えなくなってしまいました。
というかハルさんまじ怖いっす。
あれ見たお子たちはトラウマになるんじゃないかってくらい。。。
こういった細かな部分をもう10分20分かけて展開されてもよかったかなと。
ちょっと気になって調べてみると、紅の豚は93分でほぼ同じ上映時間でした。
ちなみに、トトロはもっと短い86分。
そう考えるとあの時間で魅力いっぱいの豚さんはさすがだと思うし、テイストとしては似ているトトロはもっと短い時間だったというから驚きです。
僕としてはもののけ姫(133分)くらいのボリュームがあってもいいかなと思うのですが…やっぱり製作が大変なのでしょうかね。
と、ちょっと残念な部分もありましたが、決してつまらない作品ではありませんでした。
ファンタジーなのですが、西洋ファンタジーのような魔法が飛び交うようなものではなく、『存在』としてのファンタジー。この具合がちょうどよかったんじゃないかなと。
僕の中ではジブリの中でも上位作品に入る作品となりました。
人間に見られてはいけない。それが床下の小人の掟だった。
ふぅ…
以外といっては失礼ですが、志田未来さんの声がぴったりはまっていてよかったです。
アニメ画に自然になじむ声だったんだなと。
神木君の声もはじめは違和感がありましたがサマーウォーズの流れもあった僕としては気にならなくなりましたし、なんだかんだで納得してしまうんですよね。