- 密室の鍵貸します (光文社文庫)/東川 篤哉
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あらすじ
烏賊川市(いかがわし)にある大学の映画科を専攻している大学3年の流平。就職先のことで彼女と口論になり喧嘩別れ、酒に溺れて騒ぐ始末。そんな彼の大学の先輩であり、就職先の先輩にもなるであろう茂呂の家で映画を見ることになったその日、事件が起こる。映画鑑賞後シャワーを浴びるといった茂呂がなかなか出てこない。不審に思った流平は浴室へ入ると、彼は死んでいた。ショックで卒倒した流平が目覚めた翌日、悪い夢からさらにどん底に落とすかのようにひとつのことに気がつく。この家はチェーンロックがかかっており、各窓も閉じられていた密室であると。時を同じく、映画鑑賞をしていたその夜、なんと元カノが自宅マンションから転落死したという知らせが舞い込む。そして死は殺人とされ、容疑者として流平の名があがっていたのだ。そしてその知らせを聞いた流平が選んだ道とは……
久しぶりの本格ミステリーでした。
ここまで推理小説な作品は……もしかしたら中学時代に読んだ三毛猫ホームズの推理以来かも知れません。
そういえばこの三毛猫ホームズの推理ですが、まだ本を読むことが朝学の一部としか思えなかった頃、本を読み始めて間もない頃に読んだのですが、売春から始まる内容になぜかいけないものを読んでいるように感じたことを結構鮮明に覚えています。
それが影響した、という訳ではないのでしょうが、ミステリーはやっぱりドラマだなんていいながら手をつけずにきたのですが、タイトルに惹かれて手を伸ばしてしまいました。もうね、あのタイトルは卑怯です。
僕はミステリー初心者。
だから定石も、ミステリーの旨みも知りません。
というよりも、僕は推理が苦手である。
そんな僕からしてこの事件のトリックは、なるほど~と感心してしまう。
犯人も、な、なるほど~と感じる。
動機は…な、なんでやねん!!と思ってしまったのだけれど、とある高校生探偵はこんなことを言いました。
「人が人を殺す理由だけはわからない」と。
な、なるほど~、と他作品の探偵さんの言葉を思い出して納得。
推理が苦手な僕からすると、伏線の回収が素敵である。
あ、あの場面が鍵だったのね~とか、そういえばそうだった!!と思い出させてくれて気持ちがいい。
単純に僕の読み込みが浅いというのも理由なのでしょうが、だからこそ楽しんじゃったという点では、ミステリーとしての敷居は低くて入りやすいのかもしれませんね。
ドラマのフラッシュバックのようにバシン!バシン!と思い出させてくれます。
この作者さんのユーモアとはなにか。
落語のような言葉遊びや皮肉。
冗談のような設定。
そして、オチのつけ方。
このオチのつけ方がユーモアたる所以なのかな?もう数作品読んでみないとわからないなぁ。。。
そう、僕はタイトルにひっかかっただけで知らなかったのですが、これってシリーズものだったのですね。
や、やられた。
なかなか面白くて次も読みたいと思わせてくれる作者さんだったのでいいのだけれど…
いやいやこれがいけない。
僕がシリーズものを比較的避けたい理由。
それは、次は?次は?ってなってしまうから。
う~…このシリーズを選び続けていってしまうのだろうか。。。
あっという間に読み終えてしまったところをみると、どうやら面白いようです。
くは~、面白かった~!!!
って感じではないのだけれど、どこか惹かれる、そんな推理小説でしたとさ。
ふぅ…
僕は推理小説、推理ドラマを見るたびに自分はいい視聴者だなと思います。
なんたって見事に、こいつが犯人なんじゃないか?って目星をつけた人はいわゆるおとりで、ころころとこいつ怪しいじゃないかと意見を変え、推理はできない。そして最後はガハハ、なるほどと喜び閉じる。
ホント、刑事さんを志さなくて正解だったと思います。