クロスゲーム (1) (少年サンデーコミックス)/あだち 充
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あらすじ

キタムラスポーツの一人息子、喜多村光は近所でバッティングセンター兼喫茶店を営む月島家と家族ぐるみの交流があった。月島家四姉妹の次女・若葉とは同い年で幼馴染で恋人、三女・青葉とは犬猿の仲。しかし、光は青葉の投球フォームに憧れ、人知れずこっそりと練習を積んでいた。

若葉との生活がいつまでも続くと思っていた光。しかし、その別れは事故によって突然訪れてしまう。悲しみに暮れるコウだったが、若葉が見たという甲子園の景色を叶えるために野球の世界へ踏み込んだのだった。

ついに最終回をむかえたあだち充さんのクロスゲーム。

相変わらずのあだちワールドで、人によってはもう満腹だという人もいるのだろうなというまっすぐストーリーです。

僕はあだち充さんの作品を全部しっかりと読んだことがないのですが、今回は試合数が少なかったのか,、それとも恋愛描写を抑えたのかあっさりと物語は終わり、全17巻という僕基準での優良巻数となっております。


あだちワールドは健在で、作者の作者への突っ込み、皮肉、テンポのよい掛け合いはもちろん、

絵だけでコマを説明する表現方法、ご都合主義、最大のライバル、故人の想い(力)もしっかり描かれています。


僕の中ではキャラクター、登場人物がしっくりきたのですっと読めた気がします。

H2のようなどこかドロドロとした感じはなく、みんな真っ直ぐでいいやつ。

逆にキャラが立たないともとれますが、やさしい気持ちで読み通せるのは大事なことです。

というか東くんいいやつ過ぎるだろ…

そういう点であだち充作品でもいいイメージ(面白いイメージ)の強い作品になったのではなかろうか。



あだち充という作者はもしかしたらまだ甲子園への道として他のアプローチを持っているのかもしれません。

タッチでは球威だけのダメ兄貴が有名な弟の死をきっかけに甲子園を目指し、

H2ではなんでもこなせるHEROが偽診断により諦めた野球を再び始め、最大のライバルと対峙し、

そしてクロスゲームではMAX158km/hという日本人離れした快速ピッチャーが親しかった恋人が亡くなる前に夢見た甲子園の景色を叶えようとする。

終着点は同じですが、どれもアプローチが異なっていて面白い。

ちなみに、あだちワールドは基本的にはラブコメ漫画なので最終回のシーン、いわゆる告白シーンも読者の好みが出るかもしれませんが、今回の告白シーンもよかったのではないかと。

いがみ合うふたり、嫌よ嫌よも好きのうち、そんなふたりの関係を保ちつつ、相変わらず読んでいて恥ずかしくなるような台詞。素敵です。


ちょっと最終回近くの話をしてしまうと、

竜王(ライバル校)の強力バッターとの対戦結果はある意味気持ちよく、

試合を決める一打の流れも素敵です。

野球を題材にした漫画としての終着点としてはなかなか良い流れだったんじゃないかなと思います。



ところで…、これはアニメも放送され、最終巻が出る前にアニメで原作同様の終わり方をしましたが…

こういうのもありなんですねぇ。

てっきりアニメ原作がコミック化されないとアニメで放送できないものかと思っていましたが…

まぁ雑誌で先に終わっていればそれでいいという感じなのかな?

なんか不思議な感じです。



知ってるよ。 たぶん、世界で一番 ―


ふぅ…


いい作品です、と言っておいて手元においていないというのもなんですが…

でもいい作品です。

手元においておきたいのも山々ですが。。。