プルシェンコとヤグディン。
フィギュアスケート史上最高にして最強のライバルだった二人。
二人の天才の確執は非常にドラマチックだ。
最初にミーシンという高名なコーチに習っていたのはヤグディンの方。
母子家庭に育ち、父親の愛情に飢えていた彼は、ミーシンに対して父に対する憧憬のようなものを抱いていたのではないか。
ミーシンの関心を独占したいと願い、めきめきと頭角を現したヤグディン。
しかしそこに同じくミーシンの新しい弟子として登場してきたのが二歳年下のプルシェンコ。
ミーシンは、反抗的で扱いにくいヤグディンより、従順で恐るべき才能をもっているプルシェンコを可愛がるようになる。
幼い頃から将来を嘱望されていたプルシェンコ。神童にふさわしい才能を示し、周囲の嫉妬も実力でねじふせ、ロシアの期待の星へと成長していく。
傷つき、絶望してミーシンの元を離れたヤグディン、単身でアメリカに渡り、女性コーチ、タチアナタラソワ(現在は真央ちゃんのコーチ)の門下になる。
タチアナはとても愛情深いコーチで、実の母親のようにヤグディンに愛情を注ぐ。
それまで技術一辺倒だったヤグディンに、技と技の間は単なるつなぎではないことを教え、芸術性の高い演技を教え込んでいく。
ミーシンへの怒り、プルシェンコへの恨みを闘志へと変え、タチアナとの新しいチームで国際試合へと返り咲いたヤグディン。
そこから天才プルシェンコとの激しいライバル争いが始まっていく。
ヤグディンが1位ならプルシェンコが2位、プルシェンコが1位ならヤグディンが2位。
それは他の選手の追随を全く許さない世紀の天才同士の魂をかけた死闘だった。
この二人、お互いへの敵意を隠そうともしない。
キスアンドクライで、得点が出る前にプルに負けたことを自覚したヤグディン、ファンからもらった花束やぬいぐるみを膝から叩き落とす(ヤグのこういうとこ好きだ…)。
マスコミに「かつてヤグディンと同じリンクで練習して彼から学んだことは?」と聞かれたプルシェンコ、冷笑を浮かべ、どきっぱり「ナッシング」!
この時代の二人の演技、全身から「勝ちたい勝ちたい勝ちたい!!」との叫びが立ち上ってるようだ。
しかしその個性は氷と炎のように真逆。
正確無比な技術を駆使して、「どうだ!!」と言わんばかりに高度な技術を詰め込んだプルの演技に対し(リンクが狭く感じる)、気性の激しさそのままに、心を全てをさらけだしてるような熱く激しいヤグの演技。
2001年の世界選手権、怪我をしてドクターストップがかかったにも関わらず、右足に痛み止めの注射を5本打って感覚がないまま勝利への気力だけで滑ったヤグディンのSP、ショパンの「革命のエチュード」。
まるで氷の上に紅蓮の炎が激しく燃え盛っているかのような鬼気迫る演技だった。特に最後のシットスピンからラストまでは鳥肌もの。
終了後、ヤグディンが胸の前でぐっと握り締めた両腕の拳がぶるぶると震えているのが画面越しにも伝わってくる。
この気迫。この闘志。
この時を含め、大舞台でことごとくプルに負け始めたヤグ、体重への強迫観念にとりつかれ、極端な食事制限でやつれ、精神的にも不安定になっていく。
オリンピックシーズン、ついに「もう勝てない。スケートをやめたい」と言ったヤグディンを、タチアナは優しく包み込み、精神科の医者をつけて競技への熱を復活させる。
2002年のソルトレイクオリンピック、最後の直接対決となったこの舞台、SPでプルがまさかの転倒をしたとき、ヤグは自らの優勝を確信して「イエス!イエス!イエス!」と叫んだという…。(本当に好きだこういうとこ…。ってか4回転3回決めたのに3位だったゲーブルは最初から蚊帳の外か…)
しかしショートではミスしたが、その後迎えたフリーでのプルの「やけくそカルメン」(笑)もすごかった。
もうヤグに勝てないことは分かってる。
それでも「負けたくない」「本当に優れてるのは自分だ」と、無理やり持てる技術を全て詰め込んだかのようなプログラム。
それでもこのときのヤグは神がかっていた。
完璧なショートに続き、もう勝利は見えているのにそれでも四回転2回にチャレンジしたフリーでも完璧な演技。
滑り終わった後、天を仰ぎ、ひざまずいて氷にキスをしたヤグディン。
キスクラではタチアナと一緒に泣き崩れた。
しかし激しい二人のライバル争いは、より高度で負担のかかる技に挑戦し続けた結果、ヤグからこのシーズンを最後に選手生命を奪った。
ヤグはもっと闘いたかったはずだ。オリンピックの優勝者によくある勝ち逃げなんて、闘志ヤグディンの頭にはなかった。故障でもう競技を続けられないと悟ったとき、あまりのショックに泣いたという。
そして一方のプルは、最高の大舞台でヤグに雪辱を果たすという機会を永遠に奪われた。
ヤグが引退した後プルは独走状態で、4年後のトリノオリンピックでは圧倒的な大差で金メダルを獲った。
でもそのときの演技にはもうソルトレイクのときほどの熱さはなく(EXはすごかったけど)、表彰台でもとてもクールで穏やかな表情をしていた。
きっと、「ヤグディンを打ち負かして獲った金メダル」ではなかったからだろう。
100年に一人の逸材と言われたプルシェンコを熱くさせられるのは、唯一自分と互角に戦えたヤグディンだけだった。
そしてヤグディンは、プルシェンコに対する闘争心なくしてあの高みまでは登ってこれなかった。
二人はお互いがいたからこそ至高へと上りつめ、でもあまりにも実力が拮抗していたからこそ共存はできなかった。
自分が勝つには相手を打ち負かすしかない。戦うことを定められた宿命の二人。
ヤグディンが引退した後、2004年のプルシェンコのフリープログラム、「ニジンスキーに捧ぐ」。
余りある才能を持ちながら狂気の闇に沈み、孤独なまま死んだ天才バレエダンサーニジンスキーに、宇宙人とも評される圧倒的なフィギュアの才能の持ち主プルシェンコは感じるところがあったのだろうか。
それまで高い技術力を余すことなく見せ付けるために、ややちぐはぐな編曲や振りが目立っていたプルのプログラムだったのに、ニジンスキーでは叙情的な音楽にのせてバレエのポーズを取り入れ、この世のものではないような天上の世界観を表現してみせた。(ちなみにジャッジ全員が芸術点で満点の6.0をつけたというあり得ないプログラム)
ヤグの革命のエチュードと同様、魂を揺さぶられる。
それまで技術で戦っていたプルの芸術性が花開いたプログラムだった。
ああこのときヤグが現役だったら、更に素晴らしい対決が見られたことだろう。
トリノ五輪のあと引退状態だったプルシェンコが今年競技に復帰してきた。
この前のロシア杯、ジャンプ以外は現役時代に比べるとまだまだだけど、観戦したヤグディンはプルの演技を「オリンピックで充分勝てる」と評したそうだ。
ヤグディンに勝利を持っていかれたまま、二度とライバルと戦えないプルシェンコ、オリンピックで二個目の金メダルを獲ったら、栄光の歴史に唯一付き纏う敗北の影を振り払えるのかもしれない。
ちなみに最近毎晩観ては一人で部屋で爆笑してる動画↓「ブリザード表彰式」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2299612
ヤグがプルに勝ったソルトレイクでの表彰式の動画に字幕をつけたものなんだけど、面白すぎる!
あ、勿論ネタとして割り切ってみることが大事。
オリンピックでは日本人選手たちには悪いけどプルの優勝を私は願っている。
フィギュアスケート史上最高にして最強のライバルだった二人。
二人の天才の確執は非常にドラマチックだ。
最初にミーシンという高名なコーチに習っていたのはヤグディンの方。
母子家庭に育ち、父親の愛情に飢えていた彼は、ミーシンに対して父に対する憧憬のようなものを抱いていたのではないか。
ミーシンの関心を独占したいと願い、めきめきと頭角を現したヤグディン。
しかしそこに同じくミーシンの新しい弟子として登場してきたのが二歳年下のプルシェンコ。
ミーシンは、反抗的で扱いにくいヤグディンより、従順で恐るべき才能をもっているプルシェンコを可愛がるようになる。
幼い頃から将来を嘱望されていたプルシェンコ。神童にふさわしい才能を示し、周囲の嫉妬も実力でねじふせ、ロシアの期待の星へと成長していく。
傷つき、絶望してミーシンの元を離れたヤグディン、単身でアメリカに渡り、女性コーチ、タチアナタラソワ(現在は真央ちゃんのコーチ)の門下になる。
タチアナはとても愛情深いコーチで、実の母親のようにヤグディンに愛情を注ぐ。
それまで技術一辺倒だったヤグディンに、技と技の間は単なるつなぎではないことを教え、芸術性の高い演技を教え込んでいく。
ミーシンへの怒り、プルシェンコへの恨みを闘志へと変え、タチアナとの新しいチームで国際試合へと返り咲いたヤグディン。
そこから天才プルシェンコとの激しいライバル争いが始まっていく。
ヤグディンが1位ならプルシェンコが2位、プルシェンコが1位ならヤグディンが2位。
それは他の選手の追随を全く許さない世紀の天才同士の魂をかけた死闘だった。
この二人、お互いへの敵意を隠そうともしない。
キスアンドクライで、得点が出る前にプルに負けたことを自覚したヤグディン、ファンからもらった花束やぬいぐるみを膝から叩き落とす(ヤグのこういうとこ好きだ…)。
マスコミに「かつてヤグディンと同じリンクで練習して彼から学んだことは?」と聞かれたプルシェンコ、冷笑を浮かべ、どきっぱり「ナッシング」!
この時代の二人の演技、全身から「勝ちたい勝ちたい勝ちたい!!」との叫びが立ち上ってるようだ。
しかしその個性は氷と炎のように真逆。
正確無比な技術を駆使して、「どうだ!!」と言わんばかりに高度な技術を詰め込んだプルの演技に対し(リンクが狭く感じる)、気性の激しさそのままに、心を全てをさらけだしてるような熱く激しいヤグの演技。
2001年の世界選手権、怪我をしてドクターストップがかかったにも関わらず、右足に痛み止めの注射を5本打って感覚がないまま勝利への気力だけで滑ったヤグディンのSP、ショパンの「革命のエチュード」。
まるで氷の上に紅蓮の炎が激しく燃え盛っているかのような鬼気迫る演技だった。特に最後のシットスピンからラストまでは鳥肌もの。
終了後、ヤグディンが胸の前でぐっと握り締めた両腕の拳がぶるぶると震えているのが画面越しにも伝わってくる。
この気迫。この闘志。
この時を含め、大舞台でことごとくプルに負け始めたヤグ、体重への強迫観念にとりつかれ、極端な食事制限でやつれ、精神的にも不安定になっていく。
オリンピックシーズン、ついに「もう勝てない。スケートをやめたい」と言ったヤグディンを、タチアナは優しく包み込み、精神科の医者をつけて競技への熱を復活させる。
2002年のソルトレイクオリンピック、最後の直接対決となったこの舞台、SPでプルがまさかの転倒をしたとき、ヤグは自らの優勝を確信して「イエス!イエス!イエス!」と叫んだという…。(本当に好きだこういうとこ…。ってか4回転3回決めたのに3位だったゲーブルは最初から蚊帳の外か…)
しかしショートではミスしたが、その後迎えたフリーでのプルの「やけくそカルメン」(笑)もすごかった。
もうヤグに勝てないことは分かってる。
それでも「負けたくない」「本当に優れてるのは自分だ」と、無理やり持てる技術を全て詰め込んだかのようなプログラム。
それでもこのときのヤグは神がかっていた。
完璧なショートに続き、もう勝利は見えているのにそれでも四回転2回にチャレンジしたフリーでも完璧な演技。
滑り終わった後、天を仰ぎ、ひざまずいて氷にキスをしたヤグディン。
キスクラではタチアナと一緒に泣き崩れた。
しかし激しい二人のライバル争いは、より高度で負担のかかる技に挑戦し続けた結果、ヤグからこのシーズンを最後に選手生命を奪った。
ヤグはもっと闘いたかったはずだ。オリンピックの優勝者によくある勝ち逃げなんて、闘志ヤグディンの頭にはなかった。故障でもう競技を続けられないと悟ったとき、あまりのショックに泣いたという。
そして一方のプルは、最高の大舞台でヤグに雪辱を果たすという機会を永遠に奪われた。
ヤグが引退した後プルは独走状態で、4年後のトリノオリンピックでは圧倒的な大差で金メダルを獲った。
でもそのときの演技にはもうソルトレイクのときほどの熱さはなく(EXはすごかったけど)、表彰台でもとてもクールで穏やかな表情をしていた。
きっと、「ヤグディンを打ち負かして獲った金メダル」ではなかったからだろう。
100年に一人の逸材と言われたプルシェンコを熱くさせられるのは、唯一自分と互角に戦えたヤグディンだけだった。
そしてヤグディンは、プルシェンコに対する闘争心なくしてあの高みまでは登ってこれなかった。
二人はお互いがいたからこそ至高へと上りつめ、でもあまりにも実力が拮抗していたからこそ共存はできなかった。
自分が勝つには相手を打ち負かすしかない。戦うことを定められた宿命の二人。
ヤグディンが引退した後、2004年のプルシェンコのフリープログラム、「ニジンスキーに捧ぐ」。
余りある才能を持ちながら狂気の闇に沈み、孤独なまま死んだ天才バレエダンサーニジンスキーに、宇宙人とも評される圧倒的なフィギュアの才能の持ち主プルシェンコは感じるところがあったのだろうか。
それまで高い技術力を余すことなく見せ付けるために、ややちぐはぐな編曲や振りが目立っていたプルのプログラムだったのに、ニジンスキーでは叙情的な音楽にのせてバレエのポーズを取り入れ、この世のものではないような天上の世界観を表現してみせた。(ちなみにジャッジ全員が芸術点で満点の6.0をつけたというあり得ないプログラム)
ヤグの革命のエチュードと同様、魂を揺さぶられる。
それまで技術で戦っていたプルの芸術性が花開いたプログラムだった。
ああこのときヤグが現役だったら、更に素晴らしい対決が見られたことだろう。
トリノ五輪のあと引退状態だったプルシェンコが今年競技に復帰してきた。
この前のロシア杯、ジャンプ以外は現役時代に比べるとまだまだだけど、観戦したヤグディンはプルの演技を「オリンピックで充分勝てる」と評したそうだ。
ヤグディンに勝利を持っていかれたまま、二度とライバルと戦えないプルシェンコ、オリンピックで二個目の金メダルを獲ったら、栄光の歴史に唯一付き纏う敗北の影を振り払えるのかもしれない。
ちなみに最近毎晩観ては一人で部屋で爆笑してる動画↓「ブリザード表彰式」
http://
ヤグがプルに勝ったソルトレイクでの表彰式の動画に字幕をつけたものなんだけど、面白すぎる!
あ、勿論ネタとして割り切ってみることが大事。
オリンピックでは日本人選手たちには悪いけどプルの優勝を私は願っている。