- リアルワールド (集英社文庫(日本))/集英社
不気味: /5
ノンストップ: /5
桐野夏生さんの
「リアルワールド」を読みました。
隣の家から何かが割れる音がした。
受験を控えた高校生の十四子(としこ)は
泥棒を疑ったが
隣の家のミミズのような息子は
平然と家から出てきて
十四子に「暑いっすね」と挨拶して
どこかへ行った。
ミミズとあだ名された高校生の男子が
母親を殺して逃走し、
主人公の十四子と
その友人である女子3人が
それぞれミミズに関わる中で
自身が抱える闇と向き合う的な話です。
レズであることに悩むユウザン
過去の恋愛を引きずるキラリン
病死した母親に複雑な想いを抱き続けるテラウチ
そして、ことあるごとに偽名を名乗る十四子。
歪んだ4人の女子高生が
母親殺しのミミズにより
化学反応のように変容していく様子は
少し不気味でした。
5人の登場人物の視点で
代わる代わるストーリーが
語られるので、意外な認識の違いが
物語のスパイスになってますね。
ラストに近づくにつれ
読み止らないドキドキがありました。
怖い意味で。
お久しぶりの桐野作品でしたが
面白かったです。