「異国のおじさんを伴う」元気になりますね。 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

異国のおじさんを伴う/森 絵都

ニンマリ:ワクワクワクワクワクワク /5
元気になれる:GOODGOODGOODGOOD /5


森絵都さんの
「異国のおじさんを伴う」を読みました。


『藤巻さんの道』
 道だけで編まれたお気に入りの写真集を職場の女性・藤巻さんに
 贈った。すると藤巻さんは最も荒んだ砂利道を一番好きな道に
 選んだのだ。何事にも完璧だった藤巻さんが気になりだした出来事だった。

『夜の空隙を埋める』
 タイルで作る海がまもなく完成する。そこで最近恒例となっていた停電が
 起こった。自分の部屋とミセス・グハーの部屋だけに起こる謎の停電だ。
 ミセス・グハーはもう耐えられないと、停電の原因を探しに夜の街へ飛び出した。  

『クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の……』
 クリスマスイヴに着て行く服を求めて新宿伊勢丹へ行ったものの
 ものすごい混雑で諦めることにした。もともと恋人ではないただの同僚と
 食事をするだけだったのだ。ところがプラダで靴を選ぶ老女を見かけ――。

『クジラ見』
 俺にとってクジラは「見る対象」ではなくて「食う対象」だった。しかし
 新婚旅行で久米島へ行ったとき、妻の鈴はホエールウォッチングへ
 言い出したのだ。渋々ながらクルーザーに乗ったが、海は随分と荒れていた。
 
『竜宮』
 フリーライターの私は時間がかかっても必ずボイスレコーダー起しを行う。
 それは過去の苦い経験による習慣だった。昔、タウン誌の編集を行っていた頃、
 おばあさんと亀と子どもたちの心温まる出来事の取材をしたことがあったが。

『思い出ぴろり』
 葬儀屋のマイクロバスに乗った男にナンパされた。
 誘われるままに助手席に座り、修善寺の町をぐるぐるとまわってもらう。
 しかし何も思い出と言うものが浮かばなかった。
 
『ラストシーン』
 ロンドン発ハバナ行きの旅客機の中、人々は思い思いに過ごしていた。
 40Cの座席に座る男が映画を見始めたが、着陸が迫っていたため、
 映画が途中で見られなくなり、大騒ぎを始めた。

『桂川里香子、危機一髪』
 各界に顔が広いという謎の女性・桂川里香子と病気の上司の代わりに
 同席することとなった。新幹線の座席でいきなり日本酒ワンカップを
 ぐいぐいとやる桂川氏に驚き、道中その理由を聞くことになった。

『母の北上』
 母は家を訪れるたびに北上していた。もとはリビング・ダイニングを生活拠点に
 していたのに、ダイニング、八畳間、物置代わりの和室と北へ北へと移っている。
 理由を言わない母に、もしかして亡くなった父に関係があるのではないかと思いつく。

『異国のおじさんを伴う』
 ひげ人形というオーストリアの人形をモデルに「ビアード・マン」というシリーズを
 書いたところ、画家に恵まれたこともあり人気となった。オーストリアの<ひげ人形
 愛好会>から会への招待を受けたが、何とも奇妙なこととなった。


森絵都さんの
短編集は久し振りです。
面白かったです。

随分と前に読んだ短編集が
とても好みだったので
今回も期待していました。

期待し過ぎるとよくないと
思いつつも、期待通りの面白さなのが
さすがですね。

前に読んだ短編とは
雰囲気が違いますが
よかったです。

心温まるものや
ニヤっとしちゃうもの、
ちょっとしたどんでん返しが隠れているものなど
いろいろありました。

ショートショートよりは
長いですが、
短めの短編で、読みやすいです。

森絵都さんの物語は
幸せ気分になれるものが
多いですね。
安心して読めます。



(↓)森絵都さんの短編集。オススメです。

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)/森 絵都