「沖で待つ」じわーっと男女の友情 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

沖で待つ/絲山 秋子




読みやすい:GOODGOODGOODGOODGOOD /5


感動:☆☆☆ /5








絲山秋子さんの


「沖で待つ」を読みました。








『勤労感謝の日』


 勤労感謝の日、無職で独身の鳥飼恭子は近所の長谷川さんに


 お見合いを勧められた。交通事故に遭ったときに世話になった義理が


 あるので、恭子は仕方なくその話を受け入れる。





『沖で待つ』


 最後になるだろうと、浜松への転勤前に太っちゃんの部屋へ


 立寄った。すると何もない部屋に彼はいた。太っちゃんは


 3ヶ月前に死んでいたのだが、怖さを感じることはなかった。






芥川賞受賞作を含めた


2編の短編が収録されてました。




久々に絲山さんの小説の方を


読みました。




短編2編だけなので、


すぐに読み終わってしまって、


もっと読みたい余韻が残ります。




芥川賞作品って


勝手なイメージですが、


ちょっと難解で、


じっくり時間をかけて理解する作品が


多いのかな、と思っていました。




しかしこの「沖で待つ」、


わかりやすいです。




いえ、自分がわかっていないだけで


本当はかなり奥深いのかもしれませんが、


主人公と同僚の太っちゃんの


友情にじわーっときちゃいますよ。




恋愛関係になりえない


男女の友情っていうのも


ステキですね。




「勤労感謝の日」も


よかったです。




無職で独身の恭子さんが


お見合いをさせられて


ぶつくさ言っている前半


(絲山作品のこの「ぶつくさ」が本当におもしろいです)と


友人や馴染みの飲み屋での普段どおりの会話に


癒される後半、


何だか、こっちまで励まされます。




絲山作品の中でも


特に短編に好きなものが多いかも、です。