「逃亡くそたわけ」コミカルだけど、なんだか切ない | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

逃亡くそたわけ (講談社文庫)/絲山 秋子




切なコミカル:涙3涙3涙3涙3 /5


たまには逃亡したい:☆☆☆ /5




絲山秋子さんの「逃亡くそたわけ」を


読みました。


惠さんに作品の存在を


教えていただきました。






百道病院という精神病院から逃げ出した


「あたし」と「なごやん」は


行く当てもなく九州を走り回るという


逃亡生活を始めた。




「なごやん」は戻ろうと説得するが、


「あたし」は幻聴に悩まされながらも


病院へ戻ることはかたくなに拒否し続ける。






精神病院から患者2人が逃亡する という


設定はちょっとドキドキでしたが、


危ういというよりは


どこかコミカルで切ない旅の様子でした。




標準語で上品にしゃべる「なごやん」に


思ったことをそのまま博多弁(かな?)で口に出す


花ちゃん。


薬が切れて幻聴に悩まされるという


シーンもありますが、


ごくごく普通の若い2人に見えます。




そんな2人があーだこーだともめながら


思いつきで行き先を決め


九州を車で走り回ります。




福沢諭吉記念館の諭吉定食に


いちゃもんをつけ、


ヒルに襲われ、阿蘇山を眺め、


いきなり団子を食べる。




まさに


「逃亡するくそたわけ2人組」


ですね。




名古屋生まれであることを隠している


東京かぶれの「なごやん」が


垣間見せる田舎っぽさに笑いました。




私も「東京の○○」というキャッチコピーに


心惹かれます。


田舎者ですからね。


妙に「なごやん」に親しみがわきました。