「ぼくのメジャースプーン」”罪”にみあう”罰”を考える | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)/辻村 深月

感動:不思議不思議不思議不思議 /5

考えさせられる:……………… /5



辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」を

読みました。

ブログのお友達naminnieさんの

レビューを拝見し読んでみました。



ぼくの幼なじみのふみちゃんは

地味な見た目だけど、頭がよくて明るい、

クラスで人気のある女の子だった。


ある日、ふみちゃんが

大切に世話をしていたうさぎたちが

医大生・市川雄太により

殺される。

第一発見者となってしまったふみちゃんは

そのショックから一切の感情を表さなくなってしまう。


うさぎ殺しの犯人に”罰”を与えることができる不思議な力を

持っているぼくは

”先生”のもとで学びながら

その罪にふさわしい”罰”を計る。



なかなか感動させられました。


話は小学4年生のぼくが

不思議な力を使って、

ふみちゃんが大切にしていたうさぎを殺した犯人に

罰を与えるまでのたった数日間の話なのですが、

とても濃い内容です。


同じく不思議な力をもった

”先生”なる人物から力について学びながら

罪の重さにふさわしい罰に

ついて考えつづけるのですが、

この内容が斬新さはないものの

引き込まれる内容なのです。


とても小学4年生の思考とは

思えないですが……。

それは言いっこナシですね。


「不思議な力をもっている」という

ちょっとファンタジーな設定になっていますが、

そのあたりの説明はなかなか説得力あったので

あまり気になりませんでした。



ただ、「ふみちゃんはクラスの人気者だ」という

当初の設定は

恋する”ぼく”の思い込みじゃないかと感じます。


ふみちゃんが心を閉ざしてしまった後の

クラスの反応はどうにも

ふみちゃんが人気者だったような気がしない……。


頭がよくて、優しいふみちゃんを

みんながおだてて利用していたような図式が

見え隠れしてしまいます。


この矛盾は”ぼく”の一人称ならではの

ものなのでしょうか。

どうにも途中から設定が

ねじまがってしまったように見えてしまいました。


もうひとつフォローが

ほしかったところかも。


……そんな細かいところが

あえて気になってしまうほど、他の点では

すばらしい作品だと思われます。

”罪”とそれに見合う”罰”。

難しいテーマだけに

いろいろと考えさせられました。


naminnieさん、ありがとうございました。