「狐笛のかなた」狐さん……。 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

狐笛のかなた (新潮文庫)/上橋 菜穂子

ドキドキ:涙3涙3涙3 /5

泣ける:かなしいねかなしいね /5

上橋菜穂子さんの「狐笛のかなた」を

読みました。

里から離れたところにおばあさんと

住んでいた小夜は、

人の心を聞く”聞き耳”の才を持っていた。


ある日、小夜は犬に追われていた

まだ子狐である霊狐・野火を

懐にかくまってやる。


しかし、犬はしつこく追ってきて、

それを助けてくれたのが、

森陰屋敷で隠されるように

育てられていた少年・小春丸だった。


数年後、2人と1匹は数奇な運命に

巻き込まれる。



上橋作品の雰囲気が

かなりつかめてきました。

これも面白かったです。


日本の戦国時代っぽい雰囲気を

もったファンタジー世界が舞台です。


領土をめぐって争う2人の領主は

互いに呪者を使ってお互いの家族や重臣を殺し合い、

後に引けないほどの憎しみ合いを重ねてしまいます。


呪者が使役する霊狐・野火は

危ないところを助けてくれた少女・小夜に惹かれ

密かに見守り続けるのですが、

実は小夜と野火の主人は敵同士と

なっていくんですよ。大変。



子どもの頃読んで

すごく気に入っていた絵本を

思い出しました。


その絵本は大雑把に言うと

タヌキと男の人が結婚する話です。

泣けます。


タイトルとか忘れちゃったのですが、

最後に男の人がタヌキになることで

幸せになるというストーリーがめずらしくて

忘れられません。


異種婚姻譚ってヤツですね。

物悲しいものが多い気がします……。


この作品も何だか切なかったですよ。

ドキドキ、ワクワクな展開は

今まで読んだ上橋作品と同じですね。


読みきりもいいものです。