「ユージニア」曖昧さを楽しめる方むけかしら……。 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

ユージニア/恩田 陸

モヤモヤと曖昧:不思議不思議不思議 /5

妖しい雰囲気:いるよいるよいるよいるよ /5



恩田陸さんの「ユージニア」を読みました。



代々医院を営む青澤家で

起こった毒物による大量殺人事件。


親子3代の誕生日を祝う席で配達された

飲み物を飲んだ一家のほとんどが死亡した。


近所からは家の窓の形状から

「丸窓さん」と呼ばれ親しまれており、

恨みをかう一家ではない。


長い迷走を経て、

犯人は精神を病んだ男だったと断定される。

しかし事件に関わった者たちは

別の疑いを心に秘めていた。



賛否両論と聞きまして、

自分はどうだろうと興味をひかれて読んでみました。


正直なところ、消化不良で

未だに自分がこれを好きなのか、嫌いなのかも

よくわかりません……。


読みやすい作品ではないことは

確かですね。


この作品は過去に起こった

毒物による大量殺人事件に関わった人たちによる

いつくかの一人称の文章が主体となっています。


いろんな視点で見るうちに

事件の真相が薄ぼんやりと見えてくるんですが、

ハッキリとは見えません。


危ういところで見えません。

見えそうで……見えない。


本書の表紙のように霞ががかっています。

表紙といえば、確かに装丁は凝っていて

面白いです。


事件現場に残された、

これまた何とでも取れる曖昧な詩が

かっこよく見開きを飾っています。



雨、花の描写、

生き残った盲目の美少女など

ぼんやりとしながらも、

雰囲気はいいです。


この犯人に確信があるようで、実は曖昧という感じは

東野圭吾の「白夜行」を思い出しました。


正解を求めず、このぼんやりとした

世界を楽しむのであれば、

悪い作品ではなさそうですね。


白黒ハッキリさせたい方は

読まないほうがよろしいかと思われます……。