下世話な好奇心が: /5
展開が分かりやすい: /5
新堂冬樹さんの「枕女優」を読みました。
子ども頃からテレビっ子で芸能界に憧れていた鈴木弘子は
高校3年生で念願のオーディション合格を手にし、
鳥居水香として、芸能界へ飛び込んだ。
しかし小さな事務所での女優生活は辛酸を極める。
まず整形する事を強いられ、芸能界での権力者へ
「夜の接待」をして端役をもらう。
時に裏切られ、騙され、格上の女優に虐められる。
もらえる給料は千数百円……
だが、水香はどんなことをしてもトップへ躍り出ると決め
すべてを捨てて耐えた。
とんとんと成り上がってから急下降するという
とても分かりやすい展開の作品です。
そのため非常に読みやすい。
タイトル通り、体を売ってでもトップ女優になると決めた
女のすさまじい執念の物語。
先輩女優に虐められ、有望な後輩に立場をおびやかされ、
脚本家やプロデューサーに体を許したのに役をもらえなかったり、
とにかくすさまじい前半部分。
ここがまた下世話な好奇心を刺激されて
読み止らないのです。
そして最後に「なるほど、そういうことか」と
思わせてくれるようなちょっと変わった構成をしています。
数人の女性の逸話がメインストーリーの
間に挟まっているんですが、その話が何だったのか、
最後にパッと分かるわけなのです。
芸能界って本当にこんななの?
帯には「禁じ手」とか「問題作」とか
「このネタはまずい(某プロデューサー談)」とか
本当にあるっぽいように煽ってあります。
でも体を売って役をもらうって、そんな話がまだ
あるんでしょうか。
……とりあえず、話半分に受け取っておきましょう。
ありがちな話で内容が濃いものではないのですが、
暇つぶしにならうってつけの一冊だと思われます。
一気読みできます。
ドロドロの昼ドラでも見た後のような
なんとも言えない後味の悪さが残りますが、
まぁ、おもしろい作品でした。