「つきのふね」息吐く間もない、友情ストーリー | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

つきのふね (角川文庫)/森 絵都

青春にのめり込み:ワクワクワクワクワクワクワクワク /5

友情に涙:かなしいねかなしいねかなしいね /5



森絵都さんの「つきのふね」を読みました。

店主さんのブログでレビューを拝見し、

とてもおもしろそうだな、と思いまして。



ノストラダムスが世界の終わりだと予言した年の前年、

1998年、中学2年生のさくらは

親友だった梨利(りり)と気まずくなってからの

日数を正確におぼえていた。


ずっと一緒だった2人はあの事件が起こってから

一度も目を合わせていない。


梨利のことが好きでずっと追っかけをしていた

勝田くんはそんな2人の様子を怪訝に思い、

さくらの後を尾行し、何が起こったのかつき止めようとしていた。


勝田くんはさくらが戸川智(さとる)というスーパーの店員の

自宅に遊びに行っているのを目撃する。

それはさくらと梨利が万引き事件を起こしたスーパーの

店員だった。



おもしろかったです。

児童書ですが、大人でも充分にのめり込めます。

テーマも深くて短い話なのに読み応えがありました。


親友だった梨利がさくらと別行動を取るようになり、

髪を染めたり、煙草やクスリの噂があったり、売春斡旋の疑いを

かけられたりとどんどんと悪い方へいってしまいます。


一方万引きの実行犯として捕まってしまったさくらを

助けてくれた智さんは心の病を煩って

世界の終わりに人類を脱出させるための宇宙船の

設計図を描き続ける。


そんな友人2人を助けようとさくらと勝田くんが

大奮闘するお話なのですが、

なかなかのハラハラドキドキぶりです。


梨利の方が大変なことに巻き込まれたり、

智さんの方がひどい症状を見せたり、

さくらも勝田くんも気が休まるときがない。

町では放火事件まで多発して、

読んでいる方もぼんやりする暇がない……


そして、怒涛のラストシーンは涙が出そうになります。


友情、いいですね。

店主さんありがとうございました。