「そして誰もいなくなる」古典ミステリの現代ヴァージョン | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。


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ミステリ:いるよいるよいるよいるよ /5

全員不審人物:☆☆☆ /5



今邑彩さんの「そして誰もいなくなる」を読みました。



名門女子校の天川学園は100周年をむかえていた。

記念式典では演劇部が古典ミステリの

名作「そして誰もいなくなった」を上演することになっている。


演劇部顧問で卒業生でもある向坂典子がシナリオを

書き、10人の部員達が順に殺されるという演劇が

始まる。


はじめの犠牲者マーストン青年役の西田エリカが

ウイスキーに見立てた紅茶を飲み干したとき、

事件が起こった。


舞台の上で西田エリカは演技とは思われぬ

異常な苦しみ方をし、死亡した。


突如中止となった演劇だったが、

その日からシナリオ通りに連続殺人が始まることになる。



いろいろな意味ですごいミステリでした。


確かにアガサ・クリスティの本を読んだときの

得体の知れない混乱の現代ヴァージョンという

印象もあります。


二転三転……

いえ、そのままゴロゴロ転がっていって見失います。


「そして誰もいなくなった」を読んだことがあると

ある程度、原作に則って犯人のめぼしを

付けたくなるのですが、

それもぶっ飛ばすくらい全員不審です。


クライマックスに近づけば近付くほど

今まで疑っていなかった人物達が

不審度を増し、疑心暗鬼で大混乱。


本格じゃなかったらツッコミいれまくっちゃうけど、

それはしないのが本格のお約束かしら。


そして最後は落ち着くところに

落ち着きますが、やっぱりちょっと気持ち悪い。


何だか嵐のような1冊でした。


今邑彩さんはホラーしか読んだことがなかったですが、

ミステリも書かれているのですね。


そっちにも手を伸ばしてみようかな、

と思います。