「工学部・水柿助教授の逡巡」 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

工学部・水柿助教授の逡巡 (幻冬舎文庫)/森 博嗣

笑:ウケるウケるウケるウケる /5

逸脱:驚驚驚驚驚 /5


森博嗣さんの「工学部・水柿助教授の逡巡」を

読みました。シリーズ2作目です。



N大学の助教授・水柿くんは

ミステリ小説好きの奥さん・須磨子さんに

せがまれて、とうとうミステリ小説を

書き出した。


完成した作品を須磨子さんに見せるが、

反応はイマイチ。


水柿くんは須磨子さんを喜ばせたくて、

さらに書いた。



前作は後々ミステリ作家になる、と

明記されているものの話はもっぱら助教授の

仕事や奥さんの須磨子さんとのやり取りでした。


今回はとうとうミステリ作家として始動した

水柿くんの様子が描かれています。


何だかもう「水柿くんの――」と書くのが

白々しく感じるくらい背後に森博嗣さんの存在を

感じます。

私小説もどき、なんですよね、きっと……


水柿くんのサインはファン名前と羽根の絵が

書いてあるそうですが、

それは森博嗣さんのサインではないかと。

何かで見たことがあります。


そして前作同様、本筋からの逸脱っぷりはすごい。

片時もじっとしていない文章で、

そこが妙におかしくて笑えます。


うまく説明できませんが、

頭に浮かんだことを片っ端から書きなぐって

いるようで実は意味があったり、

なかったり……

意味があるとみせかけて

全然なかったり。


こんな文章に身を任せて翻弄されてみるのも

おもしろいかも、です。


さて印税で大金持ちになってしまった水柿くんが

どうなるのか次回作も楽しみです。