「スリー・アゲーツ」鉱物シリーズ2作目 | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

スリー・アゲーツ―三つの瑪瑙 (集英社文庫)/五條 瑛

家族愛:かなしいねかなしいねかなしいねかなしいね /5

拳銃バンバン:!!!! /5



バステトさんにオススメされて読み始めた

五條瑛さんの鉱物シリーズ2作目

「スリー・アゲーツ」を読みました。



HUMINT(ヒューミント)人的情情報収集活動の

担当官・葉山が<会社>の情報部員・エディに

頼まれた仕事はどうみてもさほど重要ではない

文書の分析だった。


北朝鮮の精巧な偽造紙幣「スーパーK」、

その運搬・売買と関わっていると

考えられている工作員”チョン”なる人物が残した

文書とはただひたすら日本語を練習しただけのような

紙と日用品の買い物メモと思われるものだった。


情報分析者(アナリスト)である葉山は

この文書には意味がないと考え

まったくやる気になれなかった。


ところが葉山はこの文書からある

場所を示す言葉を発見してしまう。



こういう本があると寝不足は免れませんね。

長編で面白いというのは困ったものです。


10年くらい前に出版されたこの作品ですが、

北朝鮮がミサイルをうって世論が揺れているという

背景がとても現代にタイムリーです。


<会社>の末端情報分析者の葉山が

上からは限られた情報しかもらえず、ジタバタしながらも

”チョン”という人物に迫ります。


一方”チョン”の視点でも物語は進みます。

平壌には大切に想う妻と娘がいる。

工作員として失敗も逃げ出すこともできない。

やがて彼は究極の選択を迫られるわけです。


壮大すぎて説明できないのですが、

とにかく読み出したら止まらない作品でした。

特に最後の70ページくらいはかなりドキドキします。


”チョン”という工作員の家族への

愛情が最後まで切ない。そして彼をどこまでも

信じる2つの家族……泣けますね。


前作の「プラチナ・ビーズ」では

拳銃バンバン撃っていましたが、

今回は若干少なめで、少し静かなラストでした。


別にがっかりなんてしてませんよ。


3作目も楽しみです。