「摂氏零度の少女」心が死んでる | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

摂氏零度の少女/新堂 冬樹

ずいぶんと前のことですがあきさんのブログにて

紹介されていました「摂氏零度の少女」を読みました。


新堂さんの本は初めてで、何か読んでみたいと思ったので

コレにしてみました。

白い新堂さん(純愛モノ)と黒い新堂さん(裏社会モノ)があるという

噂ですがこれは黒??

黒っぽいな(^^;)



「ついにライオンが入院したのです」


好きだった男の子の名前を騙り、

ブログで母親や姉、父、祖母を動物に例えた記事を

書いている涼子は医学部を目指して勉強中の

優等生だ。

普通の高校生とは少し違うところは動物を簡単に

殺してしまい、それを悪いことだとは思っていないところ。


そしてとうとう母親にタリウムを少しずつ投与して

ゆっくりと殺害するという悪魔の実験をはじめ、

その経過をブログに書きはじめる。



得体の知れない怖さがあるお話でした。

しかし涼子の行く末が気になって一気に読めてしまった。


安楽死は善とする考えに疑いを持たない彼女は

少し怪我を負った小動物などを平然と殺します。

「よかったね」

と、優しく声をかけさえするのです。


読んでいると彼女はもとはとても優しい、感受性の強い

子どもだったんだなと、思わせられます。


ところが心を傷つけたいくつかの事件のせいなのか

彼女の頭の中には背筋が寒くなるような妄想の世界が

繰り広げられています。


いい気分で読めるものじゃなかったですが、

ストーリーにはかなり引き込まれました。


いじめにあったり、母親がよかれと思ってした行いに

傷ついてしまった涼子には同情もしますが、

それ以上に彼女の行動や思考が強烈。


特に妄想の文章は無機質なカタカナで綴られていて

感情がなく恐ろしかったです(そして読みにくかったです)(^^;)


すこしホラーっぽいテイストも感じます。

弱っていく母親の姿は壮絶で目を覆いたくなる惨状、

そしてその母親に執拗に毒を盛ろうとする涼子の執念は

相当怖い。


今度は白い方の新堂さんの本が読んでみたいな(^^)