小沢一郎 は政局の様々な力点の重要な位置におります。
しかしそれゆえに信者、アンチ共に過剰に書き立て実像が見えてこないのが現状です。
今回は、過去のデータに基づいて、実証的に小沢氏を分析してみたいと思います。

1、政治的経歴概略
1969年 27歳で自民党旧岩手2区にて当選  田中派金丸信の世話になる
1982年 自民党総務局長に就任 この時、谷垣と野中氏を同選挙区2人当選という離れ業を行う
1985年 第2次中曽根内閣第2次改造内閣で自治大臣兼国家公安委員長として初入閣
1985年より、田中派に反旗を翻した竹下登金丸信 らと共に創生会(後の経世会)として独立 経団連(稲山嘉寛斎藤英四郎 時代)より300億集金し、リクルート事件での劣勢を跳ね返す。
1992年(平成4年)、東京佐川急便事件 により竹下派分裂 羽田派結成
1993年5月 日本改造計画 を出版(この時バブル崩壊時期)
1994年 自民党離党 新進党 結成
1998年 自由党 結成 小渕総理と連立政権を築く
2002年 民主党 と合流
2006年 菅直人 を破り民主代表の座に
2009年 西松建設疑惑関連で代表を辞任

2、政治思想と時代背景
残念ながら著書日本改造を持っていないため、WEBサイトからの断片的な知識を元にします。修正あったらお願いします

著書 日本改造論より(バブル崩壊期)
  1. 東京 からの自由~ 一極集中 からの開放を意識した国土計画。地方分権
  2. 企業からの自由~ 企業に縛られた個人の解放。終身雇用、年功賃金、企業内技術訓練といった日本 型企業経営など高度成長型社会からの脱皮。税金の直間比率の是正。
  3. 長時間労働からの解放
  4. 年齢と性別からの自由~高齢者の能力活用。
  5. 規制からの自由~管理型行政からルール型行政へ。企業も個人も自己責任
民主党マニフェスト 2009より(政権交代期)

 1、特別会計の一般会計化
   2、一人2万6千円の子供手当て
   3、年金の一元化 と 月7万円の最低保障
   4、地域主権 自主財源強化 農業個別保障(別にアメリカとのFTAも匂わせる) 郵政見直し
   5、中小企業の法人税減税 職業訓練制度強化 温暖化対策技術推進

2010年代表戦 及び現在の動きより(菅・小沢争い)
   1、マニフェストの遵守
   2、日銀法改正 インフレターゲット設定
   3、TPP (当ブログで解説)へ反対

3、各分析
1、人物像

壊し屋といわれる通り、目的の為には組織を平気で壊す。反面、金丸信との関係に見られるように個人的な付き合いは重視。

2、政策理念
個人能力主義 慣習の撤廃 自己責任論 といったネオリベラリズム に近い面が多い。
その反面、子供手当て・農業個別保障等 ケインズ政策  を否定しない。
また、2010年の代表戦に置いては、日銀法改正 (金子洋一氏の記事へ) インフレターゲット  へも踏み込む
各政策を掲げた時期と世情はリンクしている為、分類で言えば リアニズム に近いが、政策目標が世の中の出来事の後手に回っているため学者レベルの知識は無いと思われる。

3、政治と金
自民党時代からの圧倒的な資金力 そして自民党時代における政治的慣習とその中心にいたのが金丸・小沢と言ったメンバーである以上、政治倫理的に潔癖なまま生きてきた というのは考え難い。その上で西松建設事件を時系列を考えれば

 1948年 政治資金規正法設立
 1992年 政治資金パーティー に関する規制、政治団体の資産公開、政治資金の運用の制限などが新設
 1994年 企業・団体からの寄附の対象を政党(政党支部を含む)、政治資金団体、新設された資金管理団体 に限定
 1999年 1994年の改正案付随により資金管理団体に対する企業・団体からの寄附は禁止
 2004年 陸山会の土地購入を巡る問題の時期
 2005年 政治資金団体への資金出入りは銀行・郵便振込み等に限定 1団体上限5000万までに
 2008年 報告義務が1円単位に

1992年~1999年までの政治資金規正法は小沢氏が中心的に携わっており、開発者の論理で抜け道を知り尽くす小沢氏がわざわざ真っ向から法を破るメリットはないと考えられる。脱法行為なら他にいくらでもある訳だから。
 ゆえにこのブログでの結論は 政治倫理的には真っ黒(但し企業団体献金が合法である以上白い議員はほぼ存在しない) 法的には白かただの記入漏れ とする。

4、外交政策
普天間米軍撤退にあるように、対米独立を重視。しかし対米FTAを推進するように反米という訳ではない。
対中関係は2009年12月に小沢訪中団 を400人連れて行くなど重視している。日中関係の強化などを約束する反面、軍備拡張に懸念を伝えるなど会談の内容自体はバランスが取れた物である。
これだけの規模の訪問団を編成する理由は色々言われているが、とりあえずはアメリカの捉え方同様、小沢政権の示威行動案を支持したい。朝貢なら常識外の人数でづかづか上がりこむのはかえって失礼だからである。
外交もやはり対米独立かつリアニズム色が強く、田中角栄 の路線を引き継ぐと思われる。

5、内政政策
陳情の集約化等、特別会計の一般財源化等 政治主導を掲げる。
外国人地方参政権を推進 。過去の併合に対する韓国人の救済を目的。但し、それ以外の在日中国人等に関しては言及せず。記者クラブを解放。近年はニコニコ動画にも出演。
2010年の代表戦では、積極的な景気刺激策を提示。日銀法改正・インフレターゲット導入を支持した。これはFRBに匹敵(今後数年で数百兆規模)する規模の国債発行と日銀への引き受けを意味する。
郵政民営化を阻止。これも対米独立路線。郵政は日本最大の金融機関であり、それは中央銀行制度の下での信用創造 に直結する。経済政策に関しては、池田勇人 の路線に近いと思われる。

4、大衆層(年収800万以下)にとっての小沢一郎の評価

まず今必要な政策は何を差し置いても景気対策とします。今景気対策を行わなければ少子化が確定し、超長期に渡る深刻なダメージが残る事が間違いないからです。(いずれ別に記事書きます)

1、現実論で考える
総需要政策 を掲げる勢力は現在のところ、麻生派 小沢派 亀井派 みんなの党 の4つだけであり、残りは財政規律を重視してる。
そして 財政規律は中央銀行制度 においては亡国の論理 。
官民合わせた借金が日本から日本から無くなる時、借金によってのみ供給される円も又消滅する為である。
それゆえに必然的に 上記政治家4グループ >>>>> それ以外の政治家グループ となる。
上記4グループの中での評価は、立場により異なるのでここでは避けるが、現時点で政権奪取の可能性が一番高いのは小沢派である。自民に政権交代しても、財緊馬鹿の谷垣総理じゃ仙谷菅政権と何も変わらない。
みんなの党は政権をとれる勢力ではなく、亀井派はどちらかと言えば小沢派に付随する勢力。
結論として 小沢一郎は大衆側の利用価値としては他と比べて最大である

2、理想論で考える
国民が求める政治家としての理想から見れば、かなり悪い面も大きい
1、小沢氏の政策目標は現実に起こった事件の後追いのため、経済専門家的な知識が不足している。
2、外国人参政権を推進する為、枷を嵌めずに任せたら大変な事になる。最低限、戦時に移り住んだ人間に限定する必要がある
3、法的にはあまり黒くないが、政治倫理的には真っ黒である
ただ、残念な事にこういった弱点は国会議員の多くに共通する弱点でもある。

5、総括
現時点では、麻生派・亀井派・みんなの党以外の勢力を応援するよりかは、小沢派を応援した方がマシ という事は間違い無いでしょう。但し、監視も必要です。
同時に何より 小沢派が他よりマシという今の国会の状況を嘆かなければなりません
国民の側としては、急場凌ぎ的に小沢氏を利用しつつ(自民期待なら谷垣等緊縮馬鹿おろし優先)、若い世代が自ら主体となりより高いレベルの政治勢力を政界に送り込む というのが合理的な選択肢だと思われます。