風呂から出た俺は、すぐさま自分の部屋に戻った。
「ったく……なんでばれるんだよ……。あれか?『ベッドの下は定番すぎて逆に見つからないだろ』っていう逆転の発想がダメだったのか……」
ベッドの下に手を突っ込みながらブツを探り当てる。
「ったく……なんでばれるんだよ……。あれか?『ベッドの下は定番すぎて逆に見つからないだろ』っていう逆転の発想がダメだったのか……」
ベッドの下に手を突っ込みながらブツを探り当てる。
ちなみに、断っておくと俺は巨乳派というわけではない。
桃代(ももよ)が見つけた本にはたまたまそういうカットだったのだろうが……。
かと言って貧乳が好きなわけではない。
胸の大きさというものは瑣末なことで、問題は体全体のバランスの美しさだ。
大きすぎず小さすぎず……手のひらに収まるサイズこそベストなのだ!!
桃代(ももよ)が見つけた本にはたまたまそういうカットだったのだろうが……。
かと言って貧乳が好きなわけではない。
胸の大きさというものは瑣末なことで、問題は体全体のバランスの美しさだ。
大きすぎず小さすぎず……手のひらに収まるサイズこそベストなのだ!!
「それにしても、ベッドの下がダメとなると、どこに入れるべきか……。本棚にまぎれさせる方がいいのか?」
「桃代や青葉(あおば)が勝手に本を漁っていくから、本棚はあまり適切じゃない」
「んー、それもそうか……それなら勉強机の中か……」
「その方がいいと思う。でも、たまに黒乃(くろの)姉さまが参考書を借りに来てるから、『魅惑の蕾~恥じらいの淑乳~』は別の場所の方がいい。黒乃姉さまが自信なくす」
「そうか。それならその本は本棚裏だな」
「桃代や青葉(あおば)が勝手に本を漁っていくから、本棚はあまり適切じゃない」
「んー、それもそうか……それなら勉強机の中か……」
「その方がいいと思う。でも、たまに黒乃(くろの)姉さまが参考書を借りに来てるから、『魅惑の蕾~恥じらいの淑乳~』は別の場所の方がいい。黒乃姉さまが自信なくす」
「そうか。それならその本は本棚裏だな」
ん?俺は誰と話しているんだ?
確か、部屋に入ったときには誰もいなかったはずだが……。
疑問に思い、後ろを振り向くとそこには――
確か、部屋に入ったときには誰もいなかったはずだが……。
疑問に思い、後ろを振り向くとそこには――
「幸い、姉ものがないのはよかった。姉ものがあったら兄様は今頃首と体がつながっていない」
真白(ましろ)がうんうんとうなづいていた。
「真白……いつからそこに……」
「兄様が一心不乱にベッドの下に手を入れたあたり」
本を探りあてることに気を取られすぎて気付かなかった!
……まあ、真白が普段からあんまり気配を感じさせないことも関係しているのかもしれないが。
紗黄(さき)や桃代だったら騒がしさで気づくし……紗黄だったらえらいことになっていただろうから、その意味では真白でよかった……のか……?
「兄様が一心不乱にベッドの下に手を入れたあたり」
本を探りあてることに気を取られすぎて気付かなかった!
……まあ、真白が普段からあんまり気配を感じさせないことも関係しているのかもしれないが。
紗黄(さき)や桃代だったら騒がしさで気づくし……紗黄だったらえらいことになっていただろうから、その意味では真白でよかった……のか……?
それはそうと、これはマズい。
今の言葉から察するに、真白は俺が何をしているのか、十中八九把握している。
しかし、真白の前でブツを取りだすわけにはいかない!
俺の羞恥心的に!!
なんとかごまかさなければ……。
今の言葉から察するに、真白は俺が何をしているのか、十中八九把握している。
しかし、真白の前でブツを取りだすわけにはいかない!
俺の羞恥心的に!!
なんとかごまかさなければ……。
「あー、これはだな、小銭がベッドの下に転がって……」
く、苦しいぃぃいーーー!!!
言い訳が苦しいよ!
というか、何で部屋の中で小銭をだしてるんだよ!
く、苦しいぃぃいーーー!!!
言い訳が苦しいよ!
というか、何で部屋の中で小銭をだしてるんだよ!
「手伝おうか。私の方が手が細いし」
そう言いながら真白が近づいてくる。
そう言いながら真白が近づいてくる。
状況がより悪くなったっ!!
「い、いや、大丈夫だ!!!奥の方過ぎて取れなさそうだからまた今度にするよ!!」
「どれどれ」
「ぬぉああーーー!!!」
真白がベッドの下をのぞきこもうとしたので、俺は隙間を隠すように寝そべってバンザイの姿勢をとる。
「どれどれ」
「ぬぉああーーー!!!」
真白がベッドの下をのぞきこもうとしたので、俺は隙間を隠すように寝そべってバンザイの姿勢をとる。
「どうしたの、兄様、急に」
「い、いや、風呂の後ってストレッチするといいって言うじゃないか……」
く、苦しすぎるぞ俺……。
ベッドの横でバンザイするストレッチってなんだよ……。
「い、いや、風呂の後ってストレッチするといいって言うじゃないか……」
く、苦しすぎるぞ俺……。
ベッドの横でバンザイするストレッチってなんだよ……。
「くすくす。そういうことにしといてあげる」
真白は少しほほ笑みながら追撃の手を緩める。
真白は妹の中でも、達観した雰囲気がある妹だ。
たとえるなら、夜の空に浮かぶ三日月と言えばいいだろうか。
満月のように強く光るわけではなく、気になるほどの明かりではないが、常にそこにあって、ほのかに全体を照らす。
そんな雰囲気がある。
真白は少しほほ笑みながら追撃の手を緩める。
真白は妹の中でも、達観した雰囲気がある妹だ。
たとえるなら、夜の空に浮かぶ三日月と言えばいいだろうか。
満月のように強く光るわけではなく、気になるほどの明かりではないが、常にそこにあって、ほのかに全体を照らす。
そんな雰囲気がある。
「さて、今度は私のアプローチタイム」
「青葉・桃代と立て続いてるし、出来ればお引き取りいただきたいところなのだが……」
妹たちのアプローチが続いていて疲れていることは本当だ。
「青葉・桃代と立て続いてるし、出来ればお引き取りいただきたいところなのだが……」
妹たちのアプローチが続いていて疲れていることは本当だ。
「大丈夫。兄様は寝ていてくれるだけでいい。それに、お風呂に入った今が一番いい」
「風呂に入った後が一番って……。真白……何をする気だ……」
「それは――これ」
真白は用意していたものを俺に見せる。
「なるほど――確かに風呂に入ったあとが一番だな……」
真白が用意していたものを見て、俺は真白に全てをゆだねることにした。
「風呂に入った後が一番って……。真白……何をする気だ……」
「それは――これ」
真白は用意していたものを俺に見せる。
「なるほど――確かに風呂に入ったあとが一番だな……」
真白が用意していたものを見て、俺は真白に全てをゆだねることにした。
――その頃、虹司(こうじ)の部屋の外では――
「ふわぁ~、運営さん本気出しすぎだよ~。いくら最高難易度のステージって言っても、強い敵キャラだらけっていうのはわびさびがないよ~。用意してた飲み物も無くなっちゃったし、冷蔵庫の飲み物取ってこないと……ってお姉ちゃんたち、お兄ちゃんの部屋の前で何してるの?」
黒乃・紗黄・桃代の三人が三色団子よろしく、顔を立てに並べて部屋のドアに耳をくっつけていた。
「なっ、何してるってわけでもないわよ!真白ねぇが部屋に入っていくところが見えたから気になったとかじゃないんだからね!」
「しぃー!紗黄、静かに!中に聴こえちゃうわよ!」
「あはは、黒乃おねえちゃんの声も十分大きいと思うな!」
「なるほど~そういうことか~。う~ん、でも、他の人のアプローチタイムの邪魔をするのはな~」
「しぃー!紗黄、静かに!中に聴こえちゃうわよ!」
「あはは、黒乃おねえちゃんの声も十分大きいと思うな!」
「なるほど~そういうことか~。う~ん、でも、他の人のアプローチタイムの邪魔をするのはな~」
(兄様……大きい……)
(そんなに大きいか……)
(他の人のものは見たことがないけれど……大きい。奥の方に入ってる)
(そんなに大きいか……)
(他の人のものは見たことがないけれど……大きい。奥の方に入ってる)
「…………」
――こうして三色団子は四色団子になった――
「兄様……気持ちいい?」
「あぁ……思ってた以上だ……。それにしても真白、こんなテクニック、どこで身につけたんだ……」
「それは秘密。それにしても、兄様、たくさん溜まってる……。最近自分でしてなかった?……」
「あぁ……最近忙しくてな……。うっ、真白、でそうだ!」
「ちょっとあにき!なにしてんのよ!!」
「きゃっ!紗黄、急にあけないで!」
「お風呂に入ったボクが言うのもなんなんだけど、さっ……さすがにマズいんじゃないかな」
「まさか真白お姉ちゃんに先をこされちゃうとは~。ここは私も混じって~ってあれ?」
勢いよく部屋のドアが開き、重なりあって倒れこむ妹たち。
「きゃっ!紗黄、急にあけないで!」
「お風呂に入ったボクが言うのもなんなんだけど、さっ……さすがにマズいんじゃないかな」
「まさか真白お姉ちゃんに先をこされちゃうとは~。ここは私も混じって~ってあれ?」
勢いよく部屋のドアが開き、重なりあって倒れこむ妹たち。
「お前たち……何しているんだ……」
「耳かきの最中に驚かせるのは危ない」
「へっ?耳かき?」
紗黄を始め、妹たちは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
そう、俺は真白に耳かきをしてもらっていたのだ。
自分ではなかなかきれいに出来切らない部分もあり、思った以上に溜まっていたようだ。
「耳かきの最中に驚かせるのは危ない」
「へっ?耳かき?」
紗黄を始め、妹たちは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
そう、俺は真白に耳かきをしてもらっていたのだ。
自分ではなかなかきれいに出来切らない部分もあり、思った以上に溜まっていたようだ。
「みんなは、何してるとおもったの?」
「えっ、え~っとそれは~」
珍しく青葉がうろたえている。
「くすくす。みんなおませさん。……さて、これで私のアプローチタイムはおわり。兄様、たまには耳の掃除をしておいた方がいい。それじゃあ」
「えっ、え~っとそれは~」
珍しく青葉がうろたえている。
「くすくす。みんなおませさん。……さて、これで私のアプローチタイムはおわり。兄様、たまには耳の掃除をしておいた方がいい。それじゃあ」
そう言って真白は俺の部屋を出る。
残された俺と4人の妹。
残された俺と4人の妹。
「……ところで、何してると思ったんだ」
「言えるわけないでしょうがばかぁーーーー!!!」
「うごぉあぁ!」
紗黄の右ストレートが俺の腹に炸裂する!
「お~。一発KO……これは矢浮ジューも真っ青だよ……」
「言えるわけないでしょうがばかぁーーーー!!!」
「うごぉあぁ!」
紗黄の右ストレートが俺の腹に炸裂する!
「お~。一発KO……これは矢浮ジューも真っ青だよ……」
「あははっ青葉ちゃん上手いこと言うねっ!でも、おにぃの顔の方が真っ青だよっ!」
「桃代っ!冗談言ってる場合じゃないわよ!あぁ!にいさんが泡を吹いてる!ど、どうしよう!」
そんなわけで、俺にとっての長い一日が終わった……。
一方、その頃真白は自室に戻り、ベッドに横になった。
(ふう……。久々に兄様と二人きりになることができた……)
(でも、せっかく思い切って短めのスカートをはいたのに、ひざまくらもしてあげたのに、兄様、あんまり気にしてなかった……)
(やっぱり、兄様は黒乃姉さまや紗黄たちみたいに、笑顔が可愛い子がいいのかな)
壁の鏡に向かって笑顔を作ってみる。
そこには、河原に咲く彼岸花のようなさみしげな微笑みが映っていた。
(ふう……。久々に兄様と二人きりになることができた……)
(でも、せっかく思い切って短めのスカートをはいたのに、ひざまくらもしてあげたのに、兄様、あんまり気にしてなかった……)
(やっぱり、兄様は黒乃姉さまや紗黄たちみたいに、笑顔が可愛い子がいいのかな)
壁の鏡に向かって笑顔を作ってみる。
そこには、河原に咲く彼岸花のようなさみしげな微笑みが映っていた。
「……可愛くない……」
精確に言うと、真白の笑顔に可愛さがないというわけではない。
しかし、年相応の笑顔というには、ひどく憂いを帯びた笑顔だった。
(こんな私じゃ、兄様も他のみんなの方がいいに決まってる)
真白は、頭の中でいろいろなことを考え、思考の海に沈んでいく。
(それでも……私は……兄様と一緒にいたい)
「どうすればいいんだろう……」
考えても考えても答えが出てこない。
いろいろと考えているうちに、いつの間にか真白は眠っていた。
しかし、年相応の笑顔というには、ひどく憂いを帯びた笑顔だった。
(こんな私じゃ、兄様も他のみんなの方がいいに決まってる)
真白は、頭の中でいろいろなことを考え、思考の海に沈んでいく。
(それでも……私は……兄様と一緒にいたい)
「どうすればいいんだろう……」
考えても考えても答えが出てこない。
いろいろと考えているうちに、いつの間にか真白は眠っていた。
こうして、一日目を終えて、妹たちもそれぞれの夜を過ごしていくのだった……。