たまには意見記事でも。
今回はライトノベルについて。
1.ライトノベルって何?
ライトノベルとは、多種多様な定義があります。
『ライトノベル文学論』(榎本秋、NTT出版、2008)では「中学生~高校生という主なターゲットにとって読みやすく書かれた娯楽小説」という定義がされています。(p8)
イメージとしては、文庫本に、マンガ風の挿絵がついているような感じとしてとらえてもらえればと思います。
近年は、ライトノベルのアニメ化などでいくつかの有名な作品が生まれてきており、また、市場規模も拡大してきています。
ただ、ライトノベルに触れたことのない方は、マンガ・アニメ・ゲームなどと同様に、「なんとなく、読み続けていると悪影響が出るのではないか?」と考える人もいるのではないでしょうか?
ここでは、ライトノベルについてのいろいろな考察はさておいて、個人的な経験から、「ライトノベルを読書の入り口にする」という活用方法を述べていきたいと思います。
2.ライトノベルの挿絵
前述したように、ライトノベルには、マンガ風の挿絵がついています。
この挿絵の数は、本によってまちまちです。
まったく挿絵のない本も存在します。
ただ、だいたい、1冊(200ページ、これも本によってまちまち)に10ページ程度の挿絵がついているものが多いかと思います。
これらの挿絵は、場面をイメージするきっかけとなります。
特に物語を読む場合などは、実際の情景を想像しながら読む力が必要となり、この力を養うために、挿絵は大きな効果があるのではないかと考えます。
3.文字への抵抗をなくすための活用
2で述べたように、ライトノベルにはいくらかの挿絵がついています。
これらの挿絵は、多くの場合マンガ的で、1で引用した定義のように子どもが読む際に楽しみを与えるものとなります。
近年、(統計的なものは調べていないので、実際のほどはわかりませんが)本の活字離れが進んでいるようですが、これには、「本という媒体の文字を読む」ということへの抵抗の現れではないでしょうか?
もし、このような抵抗から本を読むことへの拒否反応があるのであれば、ライトノベルのような、「マンガ的な要素を含んだ活字を読んで本に慣れさせる」ということが一つの良いステップとなるのではないかと考えます。
個人的な話で恐縮ですが、私は、子どもの頃は読書が嫌いでした。(ちなみに理系です)
しかし、高校生のころにライトノベルに出会い、(実際の数は覚えていませんが)かなりの数のライトノベルを読みました。
以降、文字への抵抗というものが薄れ始め、スポーツ選手の本や新書のようなライトノベル以外の本についても読むことへの抵抗感がなくなってきました。
趣味に関係しているということもありますでしょうが、いつのまにか、350ページ以上というボリュームの『ベッケンバウアー自伝 「皇帝」と呼ばれた男』(著:フランツ・ベッケンバウアー、訳:沼尻正則之、中央公論新社、2006)なども読めるようになっていました。
最近では、興味のある新書であれば2~3日程度で一気に読めるほど文字への抵抗というものが薄れてきましたし、太宰治の「人間失格」やニーチェ(訳:西尾幹二)の「この人を見よ」などにも手を出すようになりました。
昔は本を読むことが好きではなかった自分が、このような読書好き(個人的評価)になるきっかけとして、ライトノベルが大きくかかわっていると思います。
4.まとめ
この記事で私が述べたかったことをまとめると、「読書があまり好きでない子どもに読書を始めさせるきっかけとして、ライトノベルは大きな役割を果たしうるのではないか」となります。
個人的な経験によるものなので、実際にどれほどの効果が期待できるかはさだかではありませんが、「読書嫌いの子どもに、なんとか本を読む習慣をつけてほしいな」と思った場合は、いきなり量の多い難解な本を読ませるよりも、ライトノベルのようなものから入っていくといいのではないでしょうか?