先日、飼っていたインコが死んだ。
家族の飼い猫に噛み殺されてしまった。
先程まで近くで跳ね回ったり、仕事の邪魔をしてきたりで元気だったのに、ほんの一瞬の出来事で動かなくなった。
手で拾い上げると血がとまらなくて、虚ろに目をひらいたままだった。もうダメだと思いつつも病院に駆け込んだら、小さな棺桶に入れてもらって帰ってきた。
インコは2ヶ月前、雛の状態でやって来た。毎日元気に鳴いて、ご飯もよく食べてくれた。
最初は歩くのもやっとだったのに、みるみる成長して羽ばたけるようになった。
初めて飛んだ時はすごく嬉しく、感動した。
飛べるようになってからは好きな場所に自由に飛んで、好き放題やっていた。
どこにでもうんちをするし、すぐ齧るし、ケージに戻るまいと抵抗するし、おもしろいやつだった。
家で仕事をする私とはずっと一緒にいた。かわいい相棒だった。
こんなに疾いお別れだとは思ってもいなかったし、受け入れられなかった。
苦しい思いをさせてしまった。
ちいさな棺桶に向かって何度も謝った。それしかできなかった。
次の日、せめてもの弔いとして火葬してもらった。
骨はまだ小さかったからか、全然残らなかった。
羽がほしかったが、天国で飛べないと困るだろうから取らなかった。
家に帰ると、いつもの癖であいつがいたケージや棚の上を覗き込んでしまった。
もうあの声が聞こえないと思うと、胸が張り裂けそうだった。
立ち直らないまま、いつもの日常に戻った。
ケージや好きだったおもちゃはそのままになっている。
毎日の世話は、線香を焚いて手を合わせることに変わった。
https://youtu.be/goU1Ei8I8uk?si=QV8UmuB5I0qgubbB
ある時、藤井風さんの「帰ろう」のMVが目に入った。
MVの最後で、風さんがパッと無数の羽に変わるのだが、それを見て涙が溢れた。
あいつは短い一生で、たくさんの思い出を私に残してくれた。
一緒にいたのはたったの2ヶ月かもしれないが、この思い出はこれから先の私の一生で、ずっと抱えて生きていくのだろう。
そう思うと心なしか、すこしだけ体が軽くなったような気がした。
締め切ったカーテンを開いてみた。とてもいい天気だった。窓辺にはあいつが好きだった止まり木が置いてある。そこには小さな青い羽がふわりと添えられていた。