地獄と幸せの関係 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

ある日、いつものように社殿に伺った。

「こんにちは、よくいらっしゃいました」

現れたお宮様に、私は尋ねた。

「生きている間に悪いことをすると、地獄に落とされるという説話がありますが、なぜ、大昔から変わらず存在するのでしょうか?」

お宮様は答えた。

「ごく一部分、本当のことを伝えているからです。おとぎ話にも一片の真実あってこそ、長く伝えられるのです。ただし、大部分は大きく間違っています。真実ではありません」

「真実とは?地獄に落とされるのですか?」

「いえ。それは正しくありません。『地獄』が存在する点のみが真実です。未発達な主義、信条を持つ者が集まる場所です。ですが、地獄には落とされません。罰は当たりません。善より悪を好む者が、自分からそこへ行くのです。そこの方が、居心地が良いから行くに過ぎません。地上でもそうでしょう?グループを作るものです。類は友を呼ぶというのは、まさに至言です」

「鬼とか、針の山とか……ありますか?」

「いえ、あれは『地上で宗教と呼ばれるもの』が、そういう恐怖をあおりたてて、信徒を得るために作ったものです。ですから、罰が当たるから、あれをしなさい、これを買いなさい、教団に入りなさいなど、言われたら、きっぱり断ることです。それは営利企業です。人を助けようとはしていません」

「罰は少し怖いですが」

「では、これまで犯した悪にまさる善を行うことです。誰も罰は当てません。自分のやった結果が、機械的に、法則的に、完璧に自分に帰って来るだけです。救い主はあなたであり、あがない主もあなたなのです」