帰ってきた存在との対話 | 連続アメブロ演義 まとひ

連続アメブロ演義 まとひ

剣龍之介のいま、つたえたい話

男が胸を張って言った。

「私は霊能力者になりたいので、霊験あらたかな霊場を回って修行をしようと思っています。修行すれば、私にもなれるそうです。5年かけて道場へ通うコースがあるみたいなので、それにも応募するつもりです。

先祖と亡くなった娘の供養に必要だというので、お寺に寄付もいっぱいしました。霊能力者、霊媒、占い師という方に会うために日本全国を飛び回っています。先日は娘のメッセージというものをその方々から伝えてもらいました。」

帰ってきたお宮様が静かに語った。

「その労力とお金を今、苦しんでいる人のために使おうとは思いませんか?修行をする事は結構ですが、それよりも大事なのは、現実の社会に対して何をするかです。人間はある意味でみんな霊能力者です。気付いていないだけです。霊が見える、見えないことは大きな問題ではありません。あなたの特性を生かして、周囲に貢献することこそが、地上では重要なのです。

そして、想った人は姿は無くとも、あなたの傍らで微笑んでおります。お金を積んだから、癒されるのではありません。誰かありがたいお方にやってもらうから、癒されるのではありません。あなたが真心で、霊界に戻った人を想うから、その人は癒されるのです。

地上の皆さんは、肉体を脱ぎ捨てた人を『死』と呼んで悲しみますが、それは所を変えただけです。何も悲しむ必要はありません。本来の世界へ戻っただけです。その世界でもやるべき仕事が一人ひとり用意されているのです。

本来の世界へ戻った人に会いたい会いたいと切望される方も多いですが、悲しみや混乱の感情が邪魔をしている場合が非常に多いのです。地上との交信はたいへん微妙なものです。必要性が無ければ、交信は出来ませんし、必要性があっても地上の人々に曇りがあれば、同様に交信は出来ません。また、交信は受け取る人の心のレベルに比例します。高潔な人物には高潔なメッセージが届きますが、そうでない場合はそれ相応のメッセージに留まります。

メッセージが欲しい、もう一度会いたい、と言う前に自分の生活を見直すことです。まず自分の事。それから困っている周囲の人、そして地域、世界に貢献することです。霊現象に一喜一憂するのは本末転倒です。お金も道具もいりません。愛です。愛こそすべてです。」