連続アメブロ演義「まとひ」 生命の鋳型 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

ある老科学者が言った。

「自然の姿はどれ一つをとってみても目的があります。宇宙の星々や動物・昆虫の本能、植物の成長、これほど正確に作動するシステムをつぶさに見ると、その裏に働いている法則の素晴らしさに気付きます。科学者というものは、知ったかぶりをしているだけで、実際はなんにも分からないんですよ。研究を始めたときは自分が頭がいいと思う。中年になるとたいていの事は知った気になる。そして老年になると自分が全然分かってなかった事に気付く。さらに何十年も研究すると、全く分からなくなる。宇宙の前に、ただ頭を下げるだけですよ。海辺でパチャパチャやってた事に気付いてね、海の広さにやっと目が向くわけですね。そこからが本当の科学の面白さです」