先生はつねづね、私たちにこうおっしゃっていた。
「心を豊かにする知識を知ったということは、それをどうするかという義務を伴っています。自分の胸にしまいこんでいるのではなく、人生の岐路に立っている方、迷いの中にいる方、感情の嵐の中で苦しむ方々に伝え、役立ててもらうという責務があるのです。ただし、決して押し付けてはいけません。人にはそれぞれ気付くべき時というものがあります。お節介の押し売りほど、やっかいなものはありません。
そして、いちばん大切なのは、自分が言っている事とやっている事が一致しているかどうかです。口では善い事を言いながら、自分が良識に反する事をやっていれば、何にもなりません。かえって知識を冒涜することになります。焦る必要はありません。まず、自らが心豊かに生活することから始めればよいのです」