長引く内戦で40万の人々が家や職を失い、疫病や飢饉が発生していた。
その年は天災も多く、地震や津波で10万人が避難を余儀なくされていて、
生活に必要な物さえ、彼らには手に入らない厳しい毎日であった。
そのような折、億万長者が亡くなり、費用6000万金、参列者10000人という盛大な葬儀が催されることになった。知らせを聞いて、まだ若かった張阮は怒り、先生に質問した。
「何十万もの人が、病に苦しみ、明日の望みも持てないときに、このような浪費をするとは!
その金でいったいどれだけの人を助ける事が出来るのか。こんな事が許されるのでしょうか」
先生は、おっしゃられた。
「多くの人々の模範や教訓として、あるいは、何かしらの気付きを与えるきっかけになるならば、盛大な葬儀や結婚式なども有益なものでしょう。ただ、虚栄心や富、権力を誇示するためだけに行うならば、人類に対して他になすべき事があると思います。他人と過去は変えられません。しかし、自分と未来は変えられます。私達は少しずつ人類全体の幸せを求める輪を大きくしていきましょう」