――北の洞窟。
ようやくリナやガウリィの食欲が満たされた所で一行は目的地に辿り着いた。
「あったあった、ここね」
周囲を深い森の木々に囲まれ、外部からは入り口の場所が分かりにくくなっていた。
内部は暗く、ここから覗いたのでは中の様子が分からない。
「結構大きな洞窟だな。中も広そうだ」
「気を付けて下さい、中からは強大な魔力を感じます」
「噂通りって訳ね」
そんな会話が繰り広げられている中、一人嬉しそうな慶次の姿があった。
「へえ…あの人も元の世界に帰れるから喜んでるのかい?」
「いや、旦那は強い奴と喧嘩ができるのが何よりも嬉しいんですよ、旦那はそういう人です」
「ライティング!」
照明を生み出す魔法。
「明かりか」
「はぐれないようにね、皆。あと、モンスターもいるかも知れないから…」
「ガアアアッ!」
リナが言い終わる前に襲いかかってくる洞窟のモンスター。
「百式・鬼焼きッ! おおおぅりゃあああッ!!」
炎を体に纏いながら飛び上がり、敵を焼き尽くす。京が得意とする技のひとつだ。
「注意して…って、余計な心配だったかしら?」
「忠告は有難くもらっておくぜ。ま、怪物如きに遅れを取るわけにはいかねえけどな」
「ほう、お見事なり、草薙殿!」
「ふふ、俺達も負けてはおられんな。岩兵衛、捨丸よ」
「はっ、左様で!」
「我々も武者震いして来ましたぞ」