ワイドショーの司会などでおなじみの女優の岡江久美子さんが亡くなりました。
死因は新型コロナウイルス肺炎、享年は63歳だそうです。
ニュースで知り驚きました。
そして治療中のがん患者であることを知り更にショックを受けました。

昨年末に手術を受け、2月半ばまで放射線治療をしていたため免疫力が落ちていた可能性がある、という点を報道ではことさら強調していました。
間違っているとは言いません。
しかし何か引っかかりを感じてしまいました。
コロナによる肺炎で亡くなったのはがんの治療をしていたという弱みのためであり、そうでない「私たち普通の人」は心配しなくていい、といった壁を感じてしまったのです。
2月に最初の犠牲者が出てからというもの、報道では高血圧や糖尿病やがんなどの基礎疾患があることや、高齢であることなどを強調して、「私たち普通の人」は心配しなくていいですよ、というメッセージを言外に出しているように思えてなりません。(もちろん若年者や基礎疾患なしの犠牲者も出ていますが)
心配すべきハイリスクに該当する「健康ではない側の人間」はどうすればいいのだろうか、切り捨てられてしまうのだろうか、と改めて考えさせられてしまいました。

私も昨年の1月から2月末まで、再発治療のため30回の放射線治療と化学療法をしていました。
ウイルス禍が一年早かったら私も岡江さんと同じ立場にいたのです。
とても他人事とは思えません。
今現在放射線や抗がん剤治療、手術によってがんと闘っておられる方はどれほど不安なのだろうと思うと本当に心が痛みます。
私の知人にも今現在治療中の方が沢山います。
そしてブログを通じて知り合った多くの闘病中の仲間たちがいます。
その中にも体調不良を感じ不安な方、もし自分が感染してしまったらという心配で一杯の方、がん医療リソースの削減で治療が乱れてしまった方、金銭的な不安や困難を一気に抱えてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
ウイルス感染は一見誰にでも平等に見えますが、その危険性は弱者により多く分配されます。
圧倒的なカタストロフィーを前に、今の私にはどうかご無事でと祈ることしかできません。

最後になりましたが、岡江さんのご冥福をお祈りいたします。