GC療法第8クールday24、副作用は便秘、副作用かどうかわからない症状として少しだるさがあります。

今日も一日仕事でした。
抗がん剤治療のための入院があったせいで仕事がたまっており、お盆休みを取りそびれてしまいました。
夏は閑散期のはずなのですが何かと忙しいです。

電話でお客様からちょっとした相談を受けたのですが、ご家族が昨年がんで手術をしたとのことで大変だったそうです。
私もがんだということで話が弾みました。

がんのことを話すならやはりがん患者。
がんになって以来何かと「実はうちも…」という話をされることが多いです。

しかしながら「腎盂がん」というとどうしても人数が少なくマイナーなためピンとこないようです。
私もがんになる前は腎盂がんどころか腎盂という部分の名前も知りませんでした。
尿が通り膀胱に繋がるストロー部分のうち、腎臓にスポっと刺さって隠れている部分を腎盂といい、外に出ている部分を尿管というのですが、普通に生きていたら知らないことの方が多いと思います。
これまで知人や顧客、関与先などに腎盂がんのステージ4になったと話した時に、事の重大さを踏まえて深刻そうに受け答えをして下さった方はほぼ全員医師でした。
比較的まれな疾患であるため腎盂がんのことは普通は知りません。
さらに進行した場合の凶悪さなど知る由もありません。
比較的まれとは言いますが実はその実数も「少ない」ということ以外は正確にわかっていません。
統計では腎臓にできるがんということで腎細胞がんとくくられていますし、扱いも尿路上皮癌ということで膀胱がん・尿管がんとくくられて表されたり、上部尿路がんという表記で尿管がんとくくられています。

尿路上皮がんを専門とする方々が同じ組織型ということで腎盂・尿管がんを膀胱がんと一くくりにして下さったおかげで標準治療がありますが、もしそうでなかったらきっと他の希少な泌尿器がんと同様に確立された治療法がないという状況に陥っていたと思います。

しかしながら膀胱がんと異なる点もあります。
分厚い筋肉の層に覆われなかなか外までがん細胞が出ていかない膀胱がんに比べ、腎盂・尿管がんは筋肉の層が薄くすぐに外に出てしまうという点が違います。
また最近の報告ではたとえばFGFR遺伝子変異が膀胱がんの転移症例では1~2割なのに腎盂・尿管がんでは3割に見られるということが言われ、まったく同じがんという訳ではなさそうです。

さらに腎盂がんと尿管がんでも違いがあると考えられています。
単施設の後ろ向き研究なのでエビデンスレベルは低いですが、尿管がんではHER2変異がみられるのに対し腎盂がんでは全くないという報告もあります。

私は腎盂がんを「隠れ希少がん」と呼んでいます。
もちろん膀胱がんや尿管がんと一緒にくくられることで受ける恩恵も大きいです。
キイトルーダの承認など一くくりにされなければ10年たっても無理だったのではと思います。
しかし個別化医療の観点から考えると少しずつ違うものとくくられることにより最適な治療を受けられない可能性もあり何とも悩ましいです。
このような問題はゲノム医療が実現し、遺伝子変異に基づいた治療が受けられるようになれば解決すると思われますので期待して待ちたいです。
また、ゲノム医療と言わないまでも肺がんや乳がんのようにざっくり数タイプに分類して治療選択をするというのが実現すれば「隠れ希少がん」のデメリットはある程度克服できるのではと思います。

何はともあれ知名度アップを目指してこれからもブログ更新を頑張りたいです。