樽前快晴、そして五色温泉には時代の流れが

支笏湖~樽前山~ニセコ

今日も晴れた、いい天気だ。早朝だと言うのに寒くない。涼しく非常に快適だ。
これから、蝦夷に上陸して旅を始めようと知る人間にとっては最高の日和となる事だろう。この天気はもう暫く続くらしい、全く今までの以上気象は一体何処へ行ってしまったのか。勿論、テントも早々に撤収し目的の樽前山に真っ直ぐ向かった。以前コケタダートを今まで以上に注意深く走る。


早朝と有ってか、降りてくる車は数えるほど。登りきった駐車場にも2~3台の車しか停まっていない。風もなく、日差しがきついのでそれだけは少々鬱陶しかったが、森林限界から視界一杯に広がる大風景は初めて樽前山に登った時の感動が再び蘇ってきた。
そして、外輪山を登りきって自分がずっと霧の中で待ちつづけていたあの溶岩ドームが眼前に姿を現した。「ようやく逢えましたな」思わずそんな言葉が口から出た。


そして、これでもかとその別世界とも言える山頂の様子を写真に取りまくった。もう2度と登る必要がなくなる様に。


目的を果たし、充足した気分で山を降り支笏湖沿いの国道に復帰、その後大滝村に差し掛かる辺りで気分が落ち着いたのと、少々疲れたのが重なったのか居眠り運転をしそうになった。そこに丁度道の駅の標識が出てきたので迷わずそこで大休憩を取る事にした。ここの道の駅は、1箇月近く前に留寿都のZミーティングでミニツーリングを行った時に昼飯を食べた所だ、今日は日曜日。相変わらず単車も続々と集まってくる。暫く駐車場から外れた草むらの中で昼寝をし、すっきりしたところで再び移動開始。
済んだ青空に後方羊蹄山が良く見える。倶知安側から見ると、頂上がすこし傾いて見えるのだが、大滝村から京極町あたりから見る後方羊蹄山はまさに富士山そのもの。途中で京極の噴出し公園に寄ろうかとも思ったが、車がそちらへと通ずる道に続々と流れ込んでいくのを見て、止める事にした。

以前にも行った事があるし、べつにワザワザ混んでいる所に行くことは無いだろうと思ったからだ。
京極町が終わり、倶知安町に入った。そこから、五色温泉郷方面という標識に従って山を登って行く、目に映る地名、道路の感じ、町並み・・・・初めて北海道に上陸して小樽からやって来て始めて訪れた町、懐かしさ一杯である。そして、あの時のことをいつも思い出す悪夢の真夜中大雨の中ニセコの山中彷徨という洗礼を受けたキャンプ場への山道に入った。あの時はあまりの疲れに連泊したのだが、連日連夜悪天候でまるで今回の旅前半のような日々が続いて酷い目にあったのだが、7年後の今日はまさに快晴。雲らしい物が殆ど無い。右手に、山頂が剥げ落ちたイワオヌプリ。左手にはニセコ連峰最高峰のニセコアンヌプリ。もちろん、この2つの山の山容をはっきりと見たのも今回が初めてである。
そして、懐かしの五色温泉野営場に到着。テントサイトの隅から入れる獣道も健在だった。ここから荷物を搬入した方が楽なのだ。テントサイトは当然のことながらガラガラだ。本別に始まった難民キャンプ場の季節がとうとう終わってくれたのだ。静かなキャンプ場。烏のヤツラがやたら闊歩している。人が少ないのをいい事に、サイトの中を堂々と歩き回っている。おまけに、人をあまり恐れていないのだろうか、キャンプ用の椅子に乗って悪戯したり、挙句の果てにはテントの中に入り込んで食べものを物色しようとまでしている。全く、油断ならんヤツラだ。
でも、やかましい人間のグループがいるよりはずっとましだった。こいつらは、夜になったら巣に戻ってくれるのだから。明日の天気も問題なく晴れとの事。
北海道に初上陸した時に一番最初に上りたかった山が実はニセコアンヌプリだったのだが、上記に記した様に、連日の悪天候で泣く泣く諦めたと言う山なのだ。その悲願が明日達成させられようとしている。それが、終われば北海道での登山も終了。
そうそう、思い出した。山登りの勝ち星本日の樽前山が完全勝利だったので、3勝3敗1分け、とうとうイーブンに持って来た。借金はこれで全て返済できたのだ。そして、明日のニセコアンヌプリが晴天の下山頂に立てれば、念願の勝ち越しである。
しかし、それとは逆にすこし残念な事があった。まず、あれから数年も月日が流れていると言うのに、ここは携帯電話が圏外だと言う事。そして、これも思い出深い北海道で初めて入った温泉、五色温泉が大幅に改装されていたのだ。あの、掘っ立て小屋のような薄暗い内風呂は今はもう無い。
この日記を書いている時点ではまだ温泉には入っていないが、露天風呂はどうなっているのだろうか・・・・自分が始めて入ったここの温泉の露天風呂は全くの混浴で、そのときに居合わせたギャル(正真正銘の本物、脚色なし)二人が小さいタオル1枚で入っていたのを見て、まだ、混浴らしき温泉に満足に入った事がなかった自分は「うわぁ、北海道って女の子までも大胆にさせてしまう魔力があるのか・・・」などどあほな事を思っていた。それも、もしかしたら、男と女が完全に隔離されているのだろうか。そうなったら、ここの温泉の魅力は半減されたと言って良い。あの、露天風呂の岩越しに聳え立つイワオヌプリの山容が、今の露天風呂ではどうなっているのだろうか・・・・非常に気掛かりである。新しくなるのは、ある意味では便利で清潔で使いやすくなっていくのだろうが、その分失われていく部分も沢山あるということだ。なんとも複雑な心境である。

カラスは食べ物以外にもこんな物に興味を示すらしい。