雨の中の移動、再び道東入り

北海道(沙流川)~(阿寒)

今日も移動の日、日高から阿寒までを走る。天気は夕べのような叩き付けるような雨は降っていないものの、やはり小雨がぱらつく嫌な天気である。ウダウダと朝飯を食っている間、雨足が不意に強くなってきた、「おいおい、撤収時にこんな降り方は勘弁してくれよ」
しかし、テントの中の荷物を纏め、直ぐ傍の炊事場に運び出し始めた頃には雨は弱まり、相方にパッキングを始める時には完全に上がってくれた。

これだけでも雨合羽を着ながら作業をしなくて済むので大いに助かる。しかし、近くに見える山々は低い雲に覆われていて殆ど見えない。天気は今後も良くはなりそうに無いと言う事だ。フル雨装備になってキャンプ場を9時に出発。まず、これから越える日勝峠に備えて日高町内のGSにてガス補給。R274を東に向かって走り出す。やはり日勝峠を登り始めると急激に天気が悪くなってきた、雨は降っていないが、風が結構強い。風があるせいか霧が出て視界が悪いと言う事が無いのが救いか。しかし、いつ強い雨が降ってきてもおかしくないような黒い雲がコーナーを抜けて視界が開けるたびに眼前に迫ってくる。はたして峠の向こう側の天気はどうなっているのだろうか。平日の朝とあってか、対向する車は非常に多いのに自分の走る十勝方面の車線には車の姿は全く無く、殆ど単独走行となった。峠のピークをどうにか越え、下りに差し掛かる。

すると峠付近の工事信号で引っ掛かっていた車の列に追いついた。信号が青になり車が動き出す、幾つかのトンネルを抜けた後、眼下に立派な雲海が掛かっているのが見えた。あまりにも見事な光景だったので、写真に収めようかとも思ったが、ここら辺の道路は殆ど駐車できるようなスペースが無く、交通量も多いので危険と判断しそのまま車の列について行くことにした。ところが、まぁこの車の列の流れの遅い事遅い事。どんな車が先頭を走っているか、伸び上がってみた所、重機を載せたトレーラーがノロノロと急な坂を下っている。そのあまりの速度の遅さに時折詰まってしまって、後続の車が止まってしまうくらい。これではたまらんと思い、仕方なしに路側帯から擦り抜けを強行、そのトレーラーの後に付く。しかし、いかんせん車幅が広く左側から前に出る事が出来ない。右側に回って追い越そうと試みるが対向する車が多く、これも難しい。もたもたしているうちに、視界が霧に覆われてきた。先ほど峠から見ていた雲海の中に入ったのだ。いよいよ右側からの追い越しが難しくなってきた。トレーラーは益々速度を落とし停車しそうな感じでノロノロと坂を下る。真っ直ぐな道路でも長々とブレーキランプをともす。このトレーラーの運ちゃんは運転が慎重すぎるのか?それともタダ単にビビッているだけなのか?後続の車がいい加減痺れを切らしたのだろうか、クラクションをやたら鳴らす。現場の雰囲気は異様な状態になってきた。こんな所にいては、面倒な事に巻き込まれると思い、意を決して右側から追い越しを試みた。視界は数10メートルあるかないか、メットのシールドを開け、目を凝らして対向車が来ないかどうかを見る、もちろん対向する車がライトを点けていなければ全く見えない、かなり危険な状態である。急ぎの旅ではなかったが、ここは一つ前に出てみる事にした。いつでもブレーキが掛けられるようにして横に並ぶ、長い車体を追い越すのはタダでさえ距離を稼がなければならない、しかも視界は悪く下り坂だ。フル積載で小雨が降っている。なにかあったら一発でアウトだ。スロットルとブレーキと目に最大の注意を集中させて、追い越しを開始。
「・・・・・・・・」

トレーラーの前に出られた。よかった・・・何も無くて。なんだか、こんな事でえらく寿命が縮んだ様な気がする。ノロマトレーラーが車の流れを押さえているので、そこから先の道に車の姿は全く無く、やがて標高が下がるに従って視界も元に戻った。日勝峠が終わり、十勝平野に入った。天気はこちらのほうが良さそうだ。時折青空が雲間から見える。足寄あたりに入ってきた所では、太陽が見えたりもした。しかし、緊張から解放されたのか夕べの寝不足がここに来て祟ってきたのか急激に眠くなってきた。また、居眠り運転をしそうになる。取り敢えず次の道の駅で仮眠を取ろう。と言う事で足寄湖ダム近くにある道の駅にて、早めの昼飯を取り敷地内のベンチで横になって目を瞑った。だが、こちらの空の雲は薄くなってきているのだろうか、顔が熱い。サングラス越しに空を見ると時々太陽が顔を覗かせる。こう言うときに限って太陽が出てくるのはちょっと、昼寝をするにはかなり鬱陶しい。このまま、天気は良くなっていくのだろうか?


1時間ほど、眠ってすっきりとした所で出発。道路は完全にドライだったが、またこれから山の中に入っていくので油断は出来ない。フル雨装備はそのままで足寄の町を抜け、足寄国道に出る。交通量の極端に少ないR241を快調に走りぬけ、午後2時過ぎには「阿寒湖畔キャンプ場」に到着。今日は溜まった日記をどうしても片付けたかったし、洗濯や風呂にも入りたい。明日の天気によっては「雄阿寒岳」登山も計画しているので、早めのキャンプインとした。
ここのキャンプ場は有料ではあるが、管理棟にはコインランドリーはあるしシャワー室もある。

もちろ近くにはアイヌコタンがあり土産物や食料の買出しには不足はない、その外れには「毬藻の湯」という温泉施設があり風呂にも入れる。キャンプで旅をする者にとっては使い勝手は悪くない。肝心の携帯電話の電波もばっちり入る。なにも不安材料はない。今日も平日なので、キャンプ場はガラガラ。駐車場から程近い所に幕営をし、ここの所失敗しているお米の炊き上がりの雪辱を帰す為に(お米を洗って直ぐ炊いて食べる事が最近は多いのだが、ストーブの火加減が故障なのだろうか、それが上手く出来なくなりお陰で芯飯が炊き上がるというのを繰り返していていい加減頭に来ていた)、直ぐにお米を砥いで水に浸しておいた、これでちっとは炊き上がりに違いが出る筈だ。テント傍のベンチとテーブルにPCをセットし、早速日記を書き始める。そう、雨は降っていないのだ。曇り空ではあるが、日高の時と比べて明るく少し温かい。明日の天気に期待をしても良さそうだ。まぁ、明日は山に登るつもりだし洗濯物も明日片付ければいいし、山から下りてから温泉に入ればいいやと言う事で結局、風呂にも入らず3日分の食料を買出ししただけで、風呂にも行かず夕飯後も日記を書くことに今日は時間を費やしてしまった。今夜だけで3日分の日記を一気に書き上げ、あとは今日の分をかけばいいだけだ。流石に疲れたので今日のところはこれでお終い。まだ、ラジオも聞かず最新の天気予報をチェックしていないのだが、明日の天気はどうなのだろうか?夕飯時には道東に来て初めて星空を見たのだが・・・・・。