二年ぶりの蝦夷、色々な物が壊れる
青森(蟹田)~青函航路~北海道(大沼)
朝の青森は濃霧と低温という、いかにも梅雨時らしい天気であった。
東屋に吊るしてあったタオルは、夜通し海から吹き上げてきた霧のお陰で、干した時よりも湿っている。全く持っておばかである。今日は、なるべく早い時間に船に乗って蝦夷入りしたかったので、目覚めも良かった。ここ最近は、旅に出ても気持ちが昂ぶって寝られないと言う事がなく、毎日快眠する事が出来ている。今日は、目覚まし一発で起きられた。まるでばね仕掛けのように、ポーンとテントから飛び出したのだ。やはり、居心地の良いキャンプ場では寝心地もいいのだ。ぜんぜん眠くない。朝飯も握り飯2個とカップラーメンだったが、サラサラと平らげ、テントもぱっぱと撤収した。キャンプ場を出発したのは7時半。まぁまぁだろう。別に時間通りに行動するつもりは毛頭無いのだが、船の時間が気に掛かるのでダラダラ行動はしたくなかったのだ。国道をひたすら青森に向けて南下、途中から枝分かれしたバイパスに乗ってそのペースは一気にアップした。
平日なので通勤渋滞に巻き込まれる事も懸念していたが、それも皆無。フェリー埠頭のある港は、青森の都市部からかなり離れた所にあったからだ。分かりやすい標識に導かれるままにフェリーターミナルへ。バイクの姿も数台見受けられる。まだ、学生は夏休みではない筈なのにもう旅に出ているヤツラがいるのか。受付の行列も無く、乗船手続きはすんなり終了。現在時刻8時半。
9時10分発のフェリーに待つ事なく、すんなり乗船できた。やはりシーズンを外すと何でもかんでもスムースに行くものだ。
相方から必要な荷物だけを下ろし、雑魚寝部屋に向かう。既に先客が何人か居たが、埋まっているのは各ブロックの縁のほんの1部分だけ。自分も空いている縁の部分を見つけて荷物を置き、甲板に出る事無く耳栓をしてアイマスクを掛け、そのまま横になって直ぐに寝てしまった。(外は濃霧に覆われていて写真を撮るような風景ではなかった)次に目が覚めたのは12時丁度だった。着岸まであと50分ほどある。また横になるが今度は船内アナウンスを聞き逃さないようにする為に耳栓はせず、ただ横になっていた。そんなことをしていると30~40分は直ぐに過ぎてしまうものだ。やがて、船内アナウンスにより、下船の案内が流れた。荷物を抱え車両甲板に下りる。
4輪のドライバー既に乗っている様子が見えたが、他の数台のバイクの主の姿は見えない。やはりバイク乗りはどこに言ってものんびりしている。相方をサディスティックに固縛していたラッシングロープを外し、向きを変え下船のスタンバイ。やがて、ゲートが開き車が流れ出した。我々も誘導に沿って外に出る。
2年ぶりにやってきた。北海道。とうとう来てしまった。ここまで。
しかし、その割りにはあまり感慨深いものは無い。やはり長距離フェリーで上陸した方が情緒があったかな?
感覚的には、それまでの道程がかなりあったので、その続きと言った感じなのである。そう、屋久島に上陸した時とさほど変わらないのだ。そして、函館に上陸したのに感動もなにも無いのにはもう一つ訳がある。タバコを吸わない人間にとっては全く関係の無い物なのだが、旅先では常日頃から愛用していたプラスチックの防水クリヤケースのヒンジがとうとう完全に壊れてしまって、使い物にならなくなってしまったのだ。実は、このヒンジは春の長旅の時に阿蘇山のキャンプ場で最初に壊れたのだが、ヒンジの片方のアームが辛うじて折れずに残ってくれたので、騙し騙し使って来たのだ。ところが、先日の蟹田での晩に、何気なくタバコを取り出そうとしたらポロリと蓋とタバコを入れている本体が分離してしまったのだ。まぁ、こんなケースが無くともタバコを持ち歩く事は出来る。しかし、今現在北海道は何故か暑い日々が続いている。この先ジャケットを着てバイクに乗ると言う事が果たしてどれくらいあるかどうか?多分、殆ど無いと思う。ポケットの一杯あるジャケット来ていない時は、決まって長袖のTシャツを着て相方に乗っている。もちろんそれにはポケットは無い。そうすると、タバコとライターをどこに仕舞っておくか?タンクバッグかウエストバッグになる。Gパンのポケットなんかに入れたら潰れてしまうので論外。だが、パッと取り出せる便利さはどちらのバッグにも無い。しかも両方ともカメラや地図等で一杯で、無理に入れようとするとタバコの箱が潰れてしまう。だから、首からさげるタバコケースは必要なのだ。
それを探すだけで、1時間は掛かった。何せ普通のスーパーには置いていないのだ。有るとすれば、アウトドア用品が充実している店に行くしかない。実際に壊れたタバコケースは自宅の近所のモンベルの店で購入したものだ。
昼飯にラーメンとハンバーグと言うハイカロリーな組み合わせの定食を頬張りながら、ためしにお店のおばちゃんにキャンプ用品を売っている店の場所を聞き出し、さっそくそこへ向かった。
混雑する函館市内を、おばちゃんに教えて貰った言葉を反芻しながらそして必死に目印を探しながら相方と共に走る。すると、あったあった、店名は忘れたが確かに教えられたとおりの店が。
中に入ってウロウロしてみると、おおあったぞい!キャプテンスタッグのタバコケースが。色がブルーしかないのが気に入らなかったが、贅沢は言ってられない。早速清算して撤収、もうこの町に用はない。函館と札幌を繋ぐ道内随一の観戦国道R5の無料バイパスを北上する。やけに白バイの姿が多い。やはりシーズンだからか。初めて北海道に来た時は道南を中心に廻ったので、R5やそこから大沼公園に到る風景は何となく憶えていたので、迷う事無く大沼公園までたどり着く事が出来た。懐かしい、6年ぶりか。今日は晴れているとは言っても、薄雲が一面に掛かっているので道南の駒ケ岳の姿をみる事は出来なかった。
今日の宿大沼公園YHに到着したのは午後4時過ぎ。チェックインをして、さぁ洗濯だと思いオーナーにコインランドリーの場所を聞いたら、なんとこの宿にはそれが無いのだと言う。
何だって!YHのクセにコインランドリーも無いのか?!(YHは長旅や長期滞在者が多いのでコインランドリーを置くのは常識・(除く小松島千歳YH))と喉元まで出掛かった言葉をぐっと押さえ、「じゃぁ近所にはある?」と聞いたら「函館の富岡町まで戻らないと無い」って富岡町ってさっきのタバコケース買ったところの近所じゃねぇか!ここから少なくとも30キロは走らなければならない。行く訳無いでしょうに。ということで、洗濯が出来るとあてにしてここのYHに泊まったのは間違いでした。皆さん、気をつけましょう。
その後、部屋にてPCを立ち上げ独自にコインランドリーを調べたら、なんとここから数キロも走らない所にしかも国道R5沿いのGSにコインランドリーがあることを発見。
「なんだ、こんな近くにある事もここのペアレント達は知らないのか」
と自分自身が得意満面。ということで、明日は移動をするのだが直ぐに洗濯の為途中で暫しの時間を潰す事になる。明日は予定では支笏湖まで行くつもりなのだが、なにせ流れの悪い道南の国道。そこまでたどり着けるかどうかいささか不安ではある。駄目だったら、もっと手前で幕営するつもりではあるが。
で、色んなものが壊れるというサブタイトルの意味。
まず1・テント入り口のダブルファスナーの1個がとうとうぶち折れた。折角前回の旅先で直したのにやはり、このテントは本当に今回でお役御免のようだ。
2・タバコケース・・・まぁこれは新品に買い換える事で解決した。
3・メガネのツル(今もそう言うのか?)の片方、いつもネジが緩くなって精密ドライバーでまし締めしていたのだが、とうとう今日の宿で外れてしまった。
幸いな事にそのネジはメガネケースの中で外れてくれたので無くならずに済んではいる、しか~し!肝心の精密ドライバーを持ってきていないのだ。これはうかつだった。相方用の工具はバッチリなのだが、めがね用の工具は頭に無かったな~~。で、今泊まっているYHのオーナーに精密ドライバーを貸してもらおうとしたら、無いとのこと。
おいおい!たいがいの家には使う使わない関係なく精密ドライバーの1セット位置いてるぜ!
コインランドリーは無いは、精密ドライバーは無いわってまたこの俺を怒らせたいの?
ここのYHは、去年の6月に始めたばかりらしいから、色々な客のニーズに応えられない所も有るのだろうけど、いい加減一年経ったら、設備の見直しくらいしろよな。ま~た、明日やる事が増えてしまったではないか、眼鏡屋さんを探さねば・・・・、辺境の地に入り込む前に。