○八月二十日

トムラウシ→室蘭F/P

 今年の北海道は、何度も言うようだが本当に天気が良い。トムラウシの山から室蘭までの道のあいだにカッパを取り出しだのは、日勝峠を越えるときで、その時も濃霧と低温の中を走る羽目になっただけで雨らしい雨は一粒たりともシールドに当たってこなかった。
 今年のG/Wツーリングにて、久しぶりに訪れた場所がまるっきり変わっていたのに何度か驚かされたことがあったが、北海道も例外ではなかった。
 過去に何度か立ち寄ったことのある白老町のポロト温泉もその一つだった。その中にある「ホテル ウエシマポロト」は、国道から入ってすぐというアクセスのよさが魅力で自分が室蘭からフェリーに秉る前に必ず寄る所である。しかし、二年振りにここに来たときに自分の目に映った「ホテル ウエシマポロト」は看板が外され、所々の壁の塗装が剥がれ落ちており、朽ち果て始めている印象があった。
「なんか、様子がおかしい・・」
しかし、建物の回りには宿泊客らしい入開か多数見受けられ、それなりに賑やかであった。だが、正面玄関から入った中の様子は一目で明らかにおかしい、正面にあったはずのフロントのカウンターが無くなっており、ガランとしている。左手にあるガラスショーケースの中にはアイヌの民芸品が飾ってあったのだが、それもない。もしかして、廃業?と思い、玄関入って右手にある食堂を覗き込んでみる。だだっ広い食堂のテーブルには幾つもの食器が並べられている。どうやら、団体さんの食事の分らしい、そこで忙しそうに配膳しているオバハンに事情を確かめてみると、ここはいまだ「ホテル ウエシマポロト」だという、しかし日帰り入浴の受け付けはしなくなったとの事だ。
 最近の温泉ブーム(?)の流れに逆らうような事態になってしまったが、自分はそこでオバハンからすぐ近くに完成した「厚生年金会館」があって、そこで温泉に入れるとの情報をゲットする事に成功した。「厚生年金会館】は、確かに走って五分足らずの所にあり、無事にコーヒー色の温泉に浸かることが出来たのだった。
 室蘭港の近くの食堂で夕飯を済ませ、港のターミナルビルにて乗船手続きを終える。道内の観光地はシーズンが終わって、閑散としていたのだが、ここは別だ。ビルの周辺の駐車場は相変わらず車や単車がたくさん停めてあり、賑やかである。
 乗船の時、単車を車両甲板に入れて一端船をおり、出港の時間になったら徒歩で再び乗船するという珍しいハプニング(乗務員に確かめてみた所、船内が大混雑しているときはいつもこうしているらしい)もあったが、とくに大きな混乱もなく、無事定刻に室蘭港をフェリーは雛れた。
 デジタルビデオカメラを持って甲板に出る。オープニングが船からの映像だったので、旅の締めくくりも同じようなアングルで撮影を終了しベッドに戻る。あとは大洗港に到着するまでの退屈な時聞か残っているだけだ。天候も良好、海象も異常なし。船内で食っちゃ寝の時間を送っている間も船は殆ど揺れることはなかった。
 さて、またまた明後日からいつもの毎日が始まる。いやな日々が始まるわけだ。
 その気分を紛らわすかのように、ベッドに戻ってする事と言えば来年のツーリングプランを練ることである。さて、次回はとこを廻ろうか・・・・・。気持ちは早くも来年のシーズンインに向けられていた。

【完】