○八月十四日
初めての襟裳岬はご当地ソングの騒音で雰囲気ぶち壊し
午前 五時 晴れ
天気は少し秋を感じさせる晴れとなった。『然別湖』を抜け(ここはゆっくりしていきたかった・・・・一気に帯広市へと南下する。R236を走ると国道から一本の道が横に走っており、そこへ何台ものバイクが出入りしているのが目に止まった。ここはジャガイモ畑が一面に広がる所である。近づくとその人口には『幸福駅』とあった。三百M程走ったところに古ぼけた駅舎と売店がポツンとあり、その周りには山はどのバイクが止まっていた。北海道に何度か訪れている人はわかるだろうが、この廃線してから久しい旧国鉄の駅は隣町の『愛国駅」とともにミーハーライダーに大人気の場所なのだそうだ。
少し大きな倉庫といった感じを受ける駅舎の中に入ってみると、壁という壁天井という天井すべてに古い免許証や定期券はてまた学生証が一面に貼られている,つまり、自分が此処に来たという証を残しているのだろう。そして、向かいの売店の売り場にはまた願い事が書かれた紙が山と貼り付けられている。何かその光景を見て、あぁこれが北海道か・・・・・東北とか信州とか四国とは違う若者だけの聖地という雰囲気がムンムンとしていた。やっぱり格が違うような、歴史が違うような甘酸っぱいような圧倒的な残存エネルギーがそこには立ち込めているような印象を受けた。
さらに南下、天気は晴れたり曇ったり。広尾町から嘘のように霧が出てくる,まるで町のあるところで白い緞帳が下ろされているように。その霧は左手の海から風呂桶からたち登る湯気の様に町に流れ込んでくるのが見て分かる。町中で昼を済ませる。晴れているのに霧が立ち込める不思議な風景の中を、一路今夜の宿『百人浜キャンプ場』へ。
しわがれ声の某有名演歌歌手の予想通りの歌が流れまくっている『えりも岬』は、キャンプ場から七キロほど走った所にあった,耳をつんざく程の大音響で霧灯が吹鳴している。
その真横を耳を塞ぎながら歩き、展望合から更に先の岩礁の最先端にやってきた。水平線は当然視界に捕らえられる事は出来なかったが、霧の隙聞から見え隠れする海は日光が当たぅている訳でもないのに、その色はヱメラルドグリーンである。沖の方へ出れば、懐中はコンブの森となっているのかもしれない。今年の春からスキューバダイビングという新たな趣味が増えた自分は、その海中の森林浴をむしょうにしたくなった。
キャンプ最終日の夜はいつも静かである。明日の夕方には室蘭に到着し、船上の人となる訳だがおりしも秋の合風が太平洋沿岸を北上し、その端っこが「えりも岬」に上陸する恐れがある・・・とラジオの台風情報では言っていた。